【医師監修】逆流性食道炎の症状&原因は?自力で和らげる3つの習慣
投稿日:2026/07/24
更新日:2026/07/24
胸がヒリヒリジリジリする、胃の内容物が上がってくる感覚がある、喉に違和感がある…。
「食べすぎ飲みすぎかな」「年齢のせいかな」と思って見過ごしていませんか?
それ「逆流性食道炎」のサインかもしれません。
高齢者に多い病気というイメージがありますが、実はここ十数年で若年層にも急増しているんです。
今回は、関西医科大学上部消化管外科教授の山﨑誠先生に、逆流性食道炎の基礎知識から自宅でできる対策まで伺いました。
目次

気づかないうちに逆流性食道炎になっていたり、前兆があったりするかもしれません。
こんな症状に悩んでいませんか?
■胸やけがある
■お腹が張る
■胃がもたれる
■喉の違和感(ヒリヒリ)がある
■苦い(酸っぱい)ものが上がってくる
■げっぷがよく出る
一つでも当てはまる症状がある場合は、逆流性食道炎やその前段階にある可能性があります。
ご自身だけでなくご家族にも当てはまる症状がないか確認してみましょう。

逆流性食道炎とはなんですか?
山﨑さん:胃酸や胃の内容物が食道に逆流することで食道の粘膜を刺激し、炎症やただれを起こす疾患です。
食道と胃の間には下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)という筋肉があり、通常は胃の内容物が逆流しないように閉じています。この筋肉が緩むと逆流が起こります。

日本にどれくらいの患者さんがいますか?
山﨑さん:現在日本人の10~15%程度、1000〜1500万人が逆流性食道炎で病院を受診していると推計されていますが、病院を受診していない人も数多く、成人の20~25%が罹患していると報告されています。
1990年代以前は5%程度でしたから、この30年で患者数は約2〜3倍に増えた計算です。

どういう人が逆流性食道炎になりやすいですか?
山﨑さん:この病気はもともと中高年から高齢者に多くみられる病気でした。
原因としては、加齢に伴う下部食道括約筋の緩みや肥満、洋服の締め付けなどによるお腹の圧(腹圧)の上昇と考えられています。
同じ理由で、妊婦さんもなりやすい方のひとり。妊娠中は大きくなった子宮がお腹を押し上げるため、慢性的に腹圧がかかった状態が続きます。

その結果、胃の内容物が逆流しやすくなり、妊娠後期から出産後に逆流性食道炎を発症するケースも少なくありません。
そして近年では、若年層の患者も急増しています。その背景には生活習慣の変化も大きく関わっています。
どうして若い人もなるようになったのですか?
山﨑さん:理由は大きく二つあります。

山﨑さん:和食中心から、肉料理やグラタンといった脂肪分の多い食事をとる機会が増えました。
脂肪を摂取すると「コレシストキニン」というホルモンが分泌され、下部食道括約筋が緩みやすくなるんです。
さらに脂肪分の多い食事をとると肥満につながります。
現在、逆流性食道炎の最も多い原因が「肥満」なんです。

肥満になると特に内臓の周り(腸の隙間や腸の周辺)に脂肪がつきやすくなり、その脂肪によってお腹の中の圧力が高くなる。
高い状態が続くと、胃を含む腹部の内容物全体が、上に押し上げられやすくなります。
洋服の締め付けや妊娠後期と同じメカニズムです。

山﨑さん:もう一つは、ピロリ菌に感染する人が減ったからです。
ピロリ菌とはなんですか?
山﨑さん:「ヘリコバクター・ピロリ」という胃の中に住み着く細菌です。
感染すると胃が萎縮してしまい、胃酸が出にくくなります。
ピロリ菌は胃潰瘍や胃がんの原因になることがわかり、1990年ごろから除菌薬が開発され、広く使われるようになりました。
また、上下水道の整備や衛生状態の改善に伴って、ピロリ菌に感染する人は近年激減し、20代以下ではほとんど感染している人がいなくなりました。
その結果、胃潰瘍や胃がんに罹患する人は近年減少してきています。

山﨑さん:一方で、ピロリ菌に感染していない胃は感染している胃に比べて、萎縮が起こらず、胃酸の分泌量が多くなります。
逆流が起きた時に食道に暴露する胃酸が多くなり、食道へのダメージが大きく、逆流性食道炎になる人が増えてきている、というわけです。

逆流性食道炎になるとどんな症状が現れますか?
山﨑さん:典型的な症状は2つあります。
一つは胸の骨の後ろが焼けるような感覚がある「胸やけ」。
もう一つは酸っぱいものや胃の内容物が、口や喉に上がってくる感覚がある「呑酸(どんさん)」。
そのほかに、逆流した胃酸が喉を刺激することで咽頭炎や喉頭炎が起こります。
のどの炎症に伴い、空咳が出ることも多い。症状がひどくなると喘息と間違われることもあります。

慢性的な場合、逆流した胃酸で歯が少しずつ溶けてくることもある。
虫歯や歯の欠けが気になっていた方が、実は逆流性食道炎だったというケースもあります。
どんな時に症状が起こりやすいですか?
山﨑さん:脂っこい食事のあとや食べ過ぎたとき、アルコールや喫煙も症状の誘因となることが多いといわれています。
あと、食後に横になると症状が悪化しやすいので、注意が必要です。
横になると症状が悪化するのはどうしてですか?
山﨑さん:立ったり座ったりしているときは、重力の働きで胃酸や胃の内容物が食道へ逆流しにくいのですが、横になると胃からの逆流が起こりやすくなってしまいます。

山﨑さん:胃酸が喉元まで上がってくることもあり、喉に強い刺激が加わり、喉の痛みや口の中までもひりひりすることがあります。
それらがもし気道に入ってしまうと誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)を引き起こし、命に関わることもあります。特に高齢の方は注意が必要です。
症状を放置するとどうなりますか?
山﨑さん:慢性的に胃酸にさらされた食道の粘膜は、傷ついては治り、傷ついては治りを繰り返します。
すると食道の粘膜は、胃酸に対抗するために、酸に強い胃の粘膜と似た粘膜に変化していきます。
これを「バレット食道」といいます。

山﨑さん:バレット食道は食道腺がんや胃食道接合部がんの発生母体とも考えられており、がんのリスクが高まります。
海外では肥満の増加に伴い、こういったがん患者が急増しており、近年日本でも増加しております。

逆流性食道炎は薬を飲めば治りますか?
山﨑さん:病院では主に、胸やけや呑酸といった症状を和らげる薬が処方されます。
逆流そのものを止める薬ではなく、症状をコントロールする薬が中心です。
そのため、薬を飲んでいる間は楽になっても、飲むのをやめると症状が戻ってしまう方も少なくありません。
薬はあくまで症状を抑えるサポート役。根本的な改善には、日常生活の見直しが欠かせません。
放置するリスクを知ったうえで、日常でできることは何か。
自宅でできる対策を伺いました。

山﨑さん:逆流を助長するといわれている食事(コーヒー、アルコール、チョコレートなど)、直接的に胸焼けを誘発することがある刺激物(柑橘類や炭酸飲料、香辛料)は避けるほうがいいとされています。
食べすぎや飲みすぎも、胃酸の過剰分泌につながります。
腹八分目を意識するだけでも、症状が楽になる方が多いです。
夜遅くに食事をとると、胃酸が多く分泌されている状態で寝ることになります。
横になると逆流が起きやすいため、就寝の2〜3時間前には食事を済ませておくのが理想です。

山﨑さん:腹圧を上げる動作(前かがみ、重いものを持つなど)も逆流を促しやすいため、日常的に意識してみてください。
禁煙も下部食道括約筋の機能を守るうえで有効です。

山﨑さん:「セミファーラー位」といって、仰向けで上半身を15〜30度程度起こした姿勢があります。
就寝中の逆流を防ぐ効果があり、逆流性食道炎の対策として胃食道逆流症診療ガイドラインにも記載されています。
1980年代と昔の研究でありますが、上半身を20度くらい上げて寝ると胃酸の逆流が減るという報告があります。
われわれも実際に逆流のある患者さんに対して、睡眠のしやすさと逆流症状のバランスを考えて、約20度上半身を起こして寝ていただくように指導しています。
自宅ではどのようにしたらよいですか?
山﨑さん:背中に座布団や毛布を敷いたり、枕を重ねて傾斜をつくったりするのはどうでしょうか。
大切なのは、頭だけでなく上半身全体を緩やかに傾けることです。

実際に効果はありましたか?
山﨑さん:試した患者さんから「夜中に胃酸が上がって目が覚めることが少なくなった」「薬を飲まなくてもよくなった」といった声を聞いています。

amepla(アメプラ)では、呼吸がしやすいよう、19度の傾斜をつけた枕「睡眠坂まくら SU-ZI」があります。
フラットな状態に比べて重力のかかる方向が変わり、横隔膜への圧迫を軽減することができます。
それによって呼吸がしやすくなり、いびきの軽減も期待できる商品です。
山﨑さん:19度の傾斜がついた立体形状の枕ですね。使ってみるのも一つの手かもしれません。
▼価格18,480円(税込)
上半身を起こして、呼吸がぐんとラクな寝姿勢に
睡眠坂まくら SU-ZI(スージー)
食の欧米化とピロリ菌減少が進む現代では、逆流性食道炎は「誰でもなりうる病気」です。
放置するとがんリスクにもつながります。
しかし生活習慣の見直しが改善への近道となることがあります。
自分だけでなく、家族が「最近、胸やけがひどくて」「明け方に喉の違和感や咳がでる」と話していたら、逆流性食道炎のサインかもしれません。今夜から、寝る姿勢を少し変えてみませんか?
セルフケアで改善しない場合は、早めに医療機関を受診しましょう。
上半身を起こして、呼吸がぐんとラクな寝姿勢に
睡眠坂まくら SU-ZI(スージー)

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