メニューを開く メニューを閉じる

ジャーナリング初心者の7日間体験記!日記との違いや効果は?

仕事に育児、家事に趣味…。

日々忙しく動き回るうちに、頭の中はモヤモヤや不安でいっぱい。

自分の考えを整理できないままになっていませんか?

そんな感情を書き出すことで、頭と心を整えるのが「ジャーナリング」です。

今回は心理学の専門家・ 藤本志乃さんに効果や続けるコツを取材しました。

ジャーナリング初心者の私も7日間実践。

「思考をただ紙に書き出すだけで、なんの効果があるの?」 と半信半疑でしたが……

自分の思考の癖や感情の受け止め方に、驚くべき変化が現れたのです。

藤本志乃
監修
藤本志乃さん
公認心理師/臨床心理士/マインドフルネス瞑想講師/カウンセリングルームLe:self代表
早稲田大学院人間科学研究科卒業後、教育相談員を経て、透析患者を対象にしたカウンセリングなどに従事。2020年にウェルビーイングのためのカウンセリングルームLe:selfを創業。現在はACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)という心理学的理論を用いて、オンラインカウンセリングや講座開催に力を入れる。
著書に『あふれる「しんどい」をうけとめる こころのティーカップの取り扱い方』(高橋書店)など。

ジャーナリングとは「今」に意識を向けること

ジャーナリングとは何ですか?

藤本さん:頭に浮かんだ感情(モヤモヤ)を思いのまま書き出すことで、頭と心を整理したり、ストレスを軽くしたりします。

心理学の世界で明確な定義はありませんが。

近い概念の論文を概観すると、「感情に振り回されなくなる」「自分のことが理解できるようになる」という効果があると思われます。

頭で色々考えることはよくないですか?

藤本さん:考えること自体悪いことではありません。

でもネガティブな方向に進んだり、他人と比較ばかりしてしまったりすると良くないですね。

過去や未来を考え続け、その考えの渦に巻き込まれてしまうと、うつ病になるリスクがあるということが研究で言われています。

どうすれば考えの渦から抜け出せますか?

藤本さん:過去や未来ではなく「今ここ」に意識を向けることで、考えの渦に巻き込まれないという効果があります。

それを「マインドフルネス」と言います。

マインドフルネスの方法は様々です。

中でも文字を書くことを好む日本人に向いていると言われているのが「ジャーナリング」です。

マインドフルネスは脳に効果アリ

脳にはどういう影響がありますか?

藤本さん:私たちの脳は何か起こると扁桃体(へんとうたい)がアラートを出します。

藤本さん:扁桃体が騒ぎ、前頭葉と前頭前野が「大丈夫だよ、今までこういうことがあったじゃん」と落ち着かせているのが常です。

マインドフルネスを行うことで扁桃体の過剰な働きが収まります。

何か起きてもアラートを出さなくても問題ないようになり、脳の中がすごく静かな状態になるので、ストレスが減って過ごしやすくなります。

ジャーナリングで頭と心を整える

「ジャーナリング」は「書く瞑想」とも言われています。

なんだか怪しい、難しいイメージをする人がいるかもしれませんが、やることは単純。

一つずつひも解いていきましょう。

ジャーナリングの基本ステップ

準備物紙とペン
環境続けやすい場所
期間2カ月程(ただし、私のように7日でも『思考のパターンに気づく』レベルの変化は十分に体験できました)
内容頭に浮かんだこと
書いた後捨てても、振り返りをしてもよい
効果頭がすっきりする
心が軽くなる
自分の感情を客観視できるようになる

藤本さん:新品や下線のあるノートだときちんと書かなきゃと思ったり、誰かに見られるかもと思ったりするかもしれません。

チラシやいらない紙の裏にパッと書いて捨てていただくという方法もおすすめです。

何を書いたらよいのかわからない場合は、まず3分間、A4用紙1枚に頭に浮かんだものを書いてみましょう。

なかなか書き出せない時は、テーマを設けるのがよいですね。

例えば

■不安なこと
■モヤモヤすること
■心配事

などです。

7日間続けてできるようになった「自分の思考を客観視する」こと

実は昨年、ジャーナリングに取り組んでみたのですが、たった2日で挫折してしまいました……

今回は藤本さんのアドバイスを参考に、続けることを最優先。

自分の頭の中を公開するようでとても恥ずかしいですが、言えるギリギリの範囲で、7日間の変化をお伝えします。

【1日目:金曜日】手応え0の初日

前回は雰囲気から入ろうとお香をたいたり、ヒーリングミュージックを流したり、逆に無音にしたりと特別な環境をつくっていましたが……

継続が命ということで、習慣化しやすいよう家族がいるリビングで実践。

気が散ったのでテレビを消して、寝る前の3分間に行いました。

いらない紙の裏に書くことにしましたが、新品のノートを使った前回よりも書き出すハードルは下がりました。

と言いつつも、やっぱりペンが進まない……何を書けばいい!?

「今日モヤモヤしたこと」というテーマを立てるとやっと書き始められました。

あっという間に3分経ち、A4用紙が埋まりました。

そのあとは(え、これでどうするの?)と思ったのが本音。何も感じません。

頭の中をそのまま紙にコピーした気分。初日ということであまり考えずに就寝しました。

【2日目:土曜日】私は5分間がちょうどよい

3分間があっという間で物足りなかったので、5分間に変更。ちょうどよいと感じる時間でした。

収穫がほしく、書き終わった後は1分間くらい紙を眺めています。休日ということもあり、特にストレスを感じる出来事はなかったはずなのに(なかったからか)、出てくるのは未来に対するネガティブな言葉。

「明日も楽しみだけど次の日から1週間が始まるー」と書いていて、そんな先のことまで既に考えている自分に嫌気がさしました。

イラストにも描いていたのですが、モヤモヤや悩みが次から次に思い浮かぶ感じです。

でも、頭の中を何となく覆っていた煙のようなものが、書くことで薄らいでいく感覚がありました。

自分が今何に悩んで、不安に思っているのかがわかるからかもしれません。

【3日目:日曜日】悩みは増えているんじゃなくてループしてる? 

ずっと気になっていた映画を映画館で見られて大満足なはずなのに、ネガティブな言葉が出てきます。

自分で自分を悪い方向に連れて行っている感じです。

藤本さんの言う「考えの渦に巻き込まれる」ということかな……と思いました。

翌週はディズニーシーへ行く楽しみな予定があるのに「でもその次の週はしっかり考えたい取材が2件ある。うまくできるか心配」などと書いています。

また、何も感じなかった初日の紙を改めて眺めているとある気づきがありました。

(悩み1、悩み2ときて、また悩み1に戻っている……悩みが増えているわけではない!)

次から次に悩みが出てきているイメージでしたが、実は同じ悩みが行ったり来たりしているだけなのかもしれません。

もしかしてこれが思考のパターンというものなのでは!?

【4日目:月曜日】平日は「過去に対する後悔」が多め 

テーマを決めず「頭に浮かんだことを書く」ということができました。

休日は未来に対するモヤモヤが多かったけれど、平日は今日あった出来事に対する不安や後悔の言葉が多めです。

特に仕事関連で「もっとこうすればよかった」「もっとするべき?」「あの時の発言うまく伝えられていない気がする」という言葉ばかり。

やはり、頭の中で同じ悩みがグルグルしていました。

【5日目:火曜日】継続は難しい

企画だからと頑張っていましたが、やっぱり毎日続けることは難しい……

1日くらいよいかなと「ねむいー!!つかれたーーー」とだけ書いて寝ました。

書くことに意味があります(よね)。

【6日目:水曜日】自分の感情を許して受け入れる

平日は休日に比べてネガティブな言葉が多く、自分の頭は思っていた以上に「仕事」に向いていて、それによって不安や後悔という思考が降ってきていることがわかりました。

これまでは、なんとなくモヤモヤしている自分に『なんでこんな気持ちになるんだろう、しんどいなぁ』とさらにネガティブを重ねていました。

けれど紙に書くとモヤモヤの正体がはっきりし、『平日だからしょうがない』と、感情を隣で眺めているような不思議な感覚になれたのです。

でも書き出すとモヤモヤがはっきりするからか、紙を見て(平日だからしょうがない)と、感情に振り回されるのではなく、隣で眺めているような不思議な感覚になれました。

【7日目:木曜日】習慣化と客観視する感覚

タイマーをかけなくても取り組めるようになりました。

紙がいっぱいになるまで、書ききった!と思えるまでなど、自分にとって心地よい量がわかってきました。

また書きながら(あぁまたこの思考パターンね)(いつものように思考がグルグルしてる)(この悩みは明日になればある程度は距離が離れる)と自分の気持ちを客観視できる感覚がありました。

思考のパターンや理由がわかるようになると、それを正面から受け止めなくなる。

悩みは山のようにわいてきますが、心へのダメージは減った気がします。

モヤモヤが「粒」になっていった私のジャーナリング

ジャーナリングを7日間やり遂げ、ただ頭の中を紙に移しただけなのに、様々な発見がありました。「自分の頭って今こうなっているんだ」とどこか他人目線で観察できたのです。

平日と休日で思考の向き先が違った

平日は過去の後悔や不安、休日は未来に対するモヤモヤが目立ちました。

平日の書き出しは大体が「今日も1日疲れた」でした(涙)。

悩みが次々に増えているわけではなかった

次から次に悩みが降ってくるので、悩みが増えているようなイメージでした。

でも実際は同じ悩みを行き来しているだけでした。

モヤモヤが粒になる

普段は「不安や悩みがある」とわかっていても、頭がモヤモヤしているだけで、それが一体何かまでは突き詰めていませんでした。

ジャーナリングをすると、そのモヤモヤの中身が何なのかしっかりわかります。

一粒一粒が目に見えてくるようで、頭がすっきりしました。

「完璧じゃなくても続けられたことがまずは素晴らしい」

今回の結果を経て、藤本さんにコメントをいただきました。

藤本さん:7日間、お疲れ様でした。1日目に「何も感じない」と思いながらも翌日また書き、5日目に「ねむいーつかれたーー」だけ書いて寝るといった形で、その“完璧じゃないまま続けた”ということこそが、まず素晴らしいなと思いました。

ありがとうございます!裏紙を使ってOK、自由に書いたらOKというアドバイスのおかげで、プレッシャーを感じず続けることができました。

興味深かったのが「悩みが増えているのではなく、ループしている」という3日目の気づきです。これはまさに、心理学で言う「思考の反芻(はんすう)」が可視化された瞬間です。頭の中だけにある間は「次々と押し寄せてくる波」のように感じるのですが、紙に出してみると「あ、同じ波が繰り返しているだけだ」と気づける。このように、自分の思考がこうなっているのだとフラットに気づくことこそが、思考の渦から抜ける第一歩となります。
平日と休日で思考の向き先が違う、というパターンへの気づきも素晴らしいと思いました。

こんなにも自分の思考を客観視したのは、人生で初めてでした。自分の脳なのに、いろんな発見がありました。

そして7日目の「あぁまたこの思考パターンね」という感覚。これを私の専門としているACTという心理学の理論の中では「脱フュージョン」と言います。思考と自分がくっついて一体化しているのではなく、少し距離を置いて眺められる状態。「私はダメだ」ではなく、「“私はダメだ”という考えが浮かんでいる」と気づけること。モヤモヤが“粒”になる感覚、というのはまさにその状態の言語化であるような気がしました。
これからもジャーナリング、このような形でぜひ続けていってほしいです!

ジャーナリングの成功体験、効果を実感できた経験は大きいです。できる限り続けたいですし、何か大きな壁にぶち当たった時、「私にはジャーナリングがある!」と大きな味方になってくれる気がしています。


子育て中ジャーナリングに救われた藤本さん

どんな方にジャーナリングをおすすめしますか?

藤本さん:私はジャーナリングのおかげで子育てがすごく楽になったので、子育て中の方にもぜひおすすめしたいです。

何がきっかけでジャーナリングを始めましたか?

藤本さん:私は普段怒る方じゃないのですが、小さい子どもを育てていると、やっぱり怒りがわいてくる瞬間もあります。

お恥ずかしながら「そこ片付けて!」みたいな言い方をするときもありました。

そのわっと湧いてくる怒りが怖くなった時があって、ジャーナリングをしたり、自分の感情をしっかり見る練習を深めたりしました。

どのような変化がありましたか?

藤本さん:わっと怒りが湧いた時に、自分の体のどこでそれが起こってるのかなって考える時間が一瞬できるようになり、感情のまま怒ることがなくなりました。

怒りはあるんだけれども、あえて叱るなど自分の取りたい行動を取れるようになりました。後悔するような怒り方をしなくてすむので、めちゃくちゃ楽になりましたね。

不満や不安、モヤモヤする思考はなくならないのでしょうか?

藤本さん:なくならないときが多いと思います。不安などの思考は「あってはいけない」とか「なくさなきゃいけない」っていうふうに思っている方がすごく多いですが、実は悪いもんではなくて、見方を変えると、それがあってもうまく付き合うことで全然楽になれるのです。

その思考や感情とうまく付き合うっていうところを軸に置きながら、自分のやりたいこと、大切なことに向かって行動を進めていくことが、人生の中で何より大事だと思っています。

ジャーナリングQ&A

Q.日記とジャーナリングの違いは何ですか?

A.日記は整理して書く、ジャーナリングは思いのまま書く

藤本さん:日記は頭の中で整理してからきちんと書いて、後から見返すこともあるので、見たくない感情や思考は書かない場合もあると思います。

一方ジャーナリングでは頭に浮かんだこと、例えば「何を書こっかなぁ」「書きたいものがない!」さえも書きます

項目日記ジャーナリング
主な目的出来事の記録思考の整理
書く内容何をしたかどう感じたか
意識の向け先過去今、この瞬間
形式日記ごとに時系列で書く思いついたまま自由に
読み返し振り返って楽しむ「書き出すこと」自体に価値を置く

Q.ノートではなく、パソコンやスマホで文字を入力してもよいですか?

A.続けることが最優先なのでOK

藤本さん:ただパソコンやスマホだとメールやLINEの通知など邪魔が入ると思います。

書くことに意識を向けるという意味では、紙に書いた方が気がそれなくてよいのかなと考えています。

Q.ペンが止まってしまったらどうしたらよいですか?

A.書き続けることが大切

藤本さん:「何書こうかな」「書くことがない!」ということまで文字にしてよいので、書き続けてみましょう。

続けるうちに書けるようになってきますよ。

Q.書いていてしんどくなったらどうしたらよいですか?

A.前向きなテーマを設けることがおすすめ

藤本さん:つらい気持ちになる場合は「よかった出来事」や「自分の大事なこと」など、前向きなテーマで書いてみましょう。

それでもしんどい場合はいったんお休みをしたり、友達や家族と一緒に取り組んだりしてみてください。

まとめ|日記のように構えなくていい!1日3分裏紙から、自分の思考を客観視して受け入れる

頭の中の考えを紙に書くだけで何の意味があるのかと正直思っていましたが、書くことで新しい発見があることに素直に驚きました。

これを2カ月続けると、思考のパターンがもっとわかって、「今の自分は何を考えているんだろう」「このモヤモヤはいつもの思考パターンだから大丈夫。でもこうしよう」と思えるのではないでしょうか。

毎日を忙しく過ごす中で、知らぬ間にモヤモヤを溜め込んでしまう人はきっと私だけではないはずです。 

1日たった3分、裏紙とペンだけで、毎日がより生きやすくなるかもしれません。

まずはジャーナリングが自分に合うかどうか、試してみてください!

EDITOR’S PROFILE

ナナコ
ナナコ
日々を駆け抜けるように生きるアラサーライター。自分を落ち着かせようと始めたヨガにハマり、資格取得に向けて勉強中。自然とご飯が好き。

フォローして最新情報を受け取る

FOLLOW

Instagram X