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股関節は姿勢で変わる

開脚できないのは正常?40代からは股関節の柔らかさより「姿勢」を整えるべき理由

あぐらがかけない、開脚ができない…と「股関節が硬い」ことに悩んでいませんか?

「昔から体が硬いから」と毎日、無理なストレッチを頑張っているなら、今すぐやめて大丈夫です。

実は、開脚ができないのは体としてごく正常なこと。

そして、歩幅が狭くなった、お尻が垂れてきたといった「硬さのせい」と思われがちな変化の本当の原因は、股関節ではなく「姿勢(骨盤の傾き)」にあるんです。

本記事では、予防運動を専門とする理学療法士の中村尚人さん監修のもと、開脚できないことを気にしなくていい理由と、柔軟性の代わりに整えたい「正しい姿勢」のチェック法・運動習慣を取材。

この記事を読めば、「股関節を柔らかくしなければ」というプレッシャーから解放され、今日から本当に必要な足腰のケアを迷わず始められます。

中村 尚人
監修
中村 尚人さん
理学療法士/studio TAKT EIGHT主宰/予防運動ジム UPRIGHT主宰
1999年に理学療法士の免許を取得し、医療・介護の現場で急性期から訪問リハビリまで幅広い臨床を重ねる。予防医学の実現をテーマに、体の仕組みにもとづいた運動を発信している。著書に『体感して学ぶ ヨガの解剖学』(BABジャパン)、『「そる」だけでやせる 腹筋革命』(飛鳥新社)などがある。

結論:開脚は「手放していい悩み」、姿勢は「整えるべき課題」

まず、この記事の結論からお伝えします。

・開脚やあぐらができない
 →体として正常。気にしなくてOK

・歩幅が狭くなった、お尻が垂れた
 →原因は姿勢。ここを整える

前半は「なぜ気にしなくていいのか」を、後半で「姿勢をどう整えるか」をお伝えしていきます。

開脚できないのは正常!股関節はもともと大きく開かない

開脚できないのは正常!股関節はもともと大きく開かない

「股関節が硬い」という悩みについて、中村さんはその前提から見直す必要があると話します。

中村さん:股関節が硬いと悩む人はとても多いのですが、実は開脚やあぐらができないのは、体としてごく正常な状態です。

むしろ、大人になって大きく開ける人のほうが少数派なんです。

※股関節の関節そのものは構造上ほとんど硬くなりません。
硬さの正体を調べる方法は、こちらの記事で解説しています。

理由:大きく開く機能は、はじめから備わっていない

理由:脚を「閉じる筋肉5つ」に対して「開く筋肉は1つ」だけ

できないのが正常というのは、なぜでしょうか?

中村さん:人の体が、そもそも脚を大きく開くようにつくられていないからです。

股関節まわりの筋肉を見ると、脚を閉じる内転筋(ないてんきん)は5つもあるのに、開く筋肉は中殿筋(ちゅうでんきん)の1つだけと、5対1になっています。

なぜ、これほど差があるのでしょうか?

中村さん:開く側は、片脚立ちのときに骨盤が内側へ倒れるのを止められれば足りるので、1つで済みます。

一方、閉じる側に5つも必要なのは、歩くたびに脚が開こうとするからです。

前後に踏み出す動きも、骨盤に左右の幅があるぶん、股関節にとっては「開いていく」動きなんです。

筋肉の数は、体が何を大事にしてきたかの記録です。

開く側に1つしか置いていないということは、大きく開くことに体は投資していない。

つまり、脚を大きく開く機能は、はじめから備わっていないんです。

「硬いですね」の正体:例外的に柔らかい人を基準にしているだけ

では、なぜ「股関節が硬い」と思う人がこれほど多いのでしょうか?

中村さん:40代、50代になると、体の不安から体操教室やヨガに通い始める人が増えます。

そこで指導者に「あなた、股関節が硬いですね」と言われる。

でも、開脚を見せる指導者の多くは、バレエやヨガを長年続けて可動域を広げてきた人たちです。

でも、開脚を見せる指導者の多くは、バレエやヨガを長年続けて可動域を広げてきた人たちです。

中村さん:彼らにとってはそれが当たり前でも、体の可動域を大勢で測れば、大多数は真ん中に集まり、極端に柔らかい人も、極端に硬い人も、その両端にごくわずかいるだけ。

医学では、全体の真ん中の範囲を「正常」と呼びます。つまり、大きく開ける人のほうが端っこにいる例外なんです。

医学では、全体の真ん中の範囲を「正常」と呼びます。つまり、大きく開ける人のほうが端っこにいる例外なんです。

中村さん:ところが、その例外の側を基準にしてしまうと、ふつうの範囲にいる人が「あなたは硬い」と判定されてしまう。

日常生活で何も困っていなかった人が、教室に通い始めた途端に「私は股関節が硬いんだ」と思い込む。

これが、股関節が硬い問題が生まれるカラクリです。

つまり、開脚ができないことを気に病む必要はありません。硬さを直そうと、無理にストレッチを続けなくても大丈夫です。

ただし放置NG!「歩幅が狭くなった」の原因は姿勢(骨盤の後傾)

ただし放置NG!「歩幅が狭くなった」の原因は姿勢(骨盤の後傾)

開脚はしなくてもよいですが、ひとつだけ見過ごせない変化があります。

それが「歩幅が狭くなった」というサインです。

「歩幅が狭くなるのは股関節が硬いから」ともよく聞きますが、これも思い込みなのでしょうか?

中村さん:歩幅が狭くなること自体は、思い込みではなく実際に起きています。

ただ、その原因を股関節の硬さだと考えるのは間違いで、主な原因は姿勢です。

背骨のS字カーブが減ると、骨盤は後ろに傾きます。

ここが大事なところなのですが、脚を動かしていなくても、骨盤のほうが後ろに回れば、股関節にとっては「すでに脚を後ろへ引いた状態」になるんです。

ここが大事なところなのですが、脚を動かしていなくても、骨盤のほうが後ろに回れば、股関節にとっては「すでに脚を後ろへ引いた状態」になるんです。

中村さん:歩くときは脚を後ろへ送ることで前に進みますが、後ろへ動かせる範囲を、立っている時点で先に使ってしまっている。

だから脚がそれ以上うしろに行かず、行き場がなくなったぶん、歩幅が狭くなります。

だからこそ、骨盤の傾き、つまり姿勢を整えることが本当の対策になります。

骨盤の後傾に気づく!耳からくるぶしを結ぶ「正しい姿勢」のチェック手順

では、良い姿勢とはどんな状態なのか。中村さんに見分け方を教わりました。
まずは次の手順で、自分の姿勢をチェックしてみてください。

骨盤の後傾に気づく!耳からくるぶしを結ぶ「正しい姿勢」のチェック手順

【手順】
1.横から全身をスマホで撮る
2.耳の穴、肩の先、大転子(だいてんし。股関節の出っぱり)、膝の中央、くるぶしの5か所に印をつける3.アプリの計測機能で線を引き、5点が一直線に並ぶかを見る

中村さん:この5つが一直線なら、いい姿勢です。

これは横から見た場合の話で、正面から見るときは、左右の肩の高さ、骨盤の高さが揃っていればいい。

横からと正面から、両方見ておくと確実です。

その場ジャンプでも確認できる

中村さん:目を閉じてその場でジャンプして、同じ場所に着地できるかでもわかります。

まっすぐ立てていれば、まっすぐ跳んでまっすぐ戻ってくる。

前に進んだり後ろに下がったりするなら、真ん中に立てていないサインです。

音があると無意識に調整してしまうので、静かな場所で試してみてください。

正しい姿勢を保つ!40代からの運動習慣2選

正しい姿勢を保つ!40代からの運動習慣2選

最後に、その姿勢を支える日常の習慣について聞きました。

中村さん:骨盤を立てて背骨のカーブを保っているのは、お尻や太ももの大きな筋肉です。

ところが40代以降は、活動量が落ちると、まさにこの筋肉から衰えていきます。

支える力が落ちれば骨盤は後ろに倒れやすくなり、さらに足が細くなって、転倒にもつながっていきます。

習慣1:息が上がらない程度の「ウォーキング」

習慣1:息が上がらない程度の「ウォーキング」

中村さん:まずはウォーキングで、とにかく歩数を稼いでください。

ただし、全力で走る必要はなく、体が少し温まるくらい、息が上がらない程度で十分です。

歩く場所は坂道があると尚よいです。

階段は一段一段が平らなので、足首をあまり使いませんが、坂道なら傾きに合わせて足首まで使えます。

足首はバランスをとる要になる関節なので、ここが働くほど転びにくくなります。

近くにアップダウンのある公園があれば、そこを軽く歩くだけでもいいですよ。

習慣2:お尻と太ももを鍛える「スクワット」

習慣2:お尻と太ももを鍛える「スクワット」

中村さん:スクワットは、いちばんいいトレーニングです。衰えやすいお尻や太ももの大きな筋肉を、まとめて使えます。

さきほどお話ししたとおり、この筋肉こそが骨盤を立てておく力そのものなので、ここを保つことが姿勢の維持に直結します。

また、5キロの米袋のような重いものを持って立つと、支える重さが増えるぶん、体の真ん中に乗せないと耐えられないので、自然に姿勢がよくなります。

姿勢を意識して直そうとするより、ずっと簡単ですよ。

なお、股関節に痛みや違和感がある場合は、運動を無理に続けず、まず病院で状態を確かめてください。

関節の側に問題がひそんでいることもあります。

理学療法士が答える!股関節の硬さと姿勢に関するよくある質問

Q.開脚やあぐらができないのは異常ですか?

A.異常ではありません。

中村さん:あぐらがつらいなら、正座や割座に変えてしまってかまいません。

あぐらがつらいのは、これまで組んでこなかった人が急に組み始めるからです。

周りがやっていても、骨格は人それぞれです。

自分のやりやすい座り方でかまいません。

Q.股関節を柔らかくしないと将来歩けなくなりますか?

A.そう言われることはありますが、裏づけとなるデータはありません。

中村さん:「このままだと将来大変よ」というのは、教室に通ってもらうための誘い文句として使われることがあります。

ですが、股関節の可動域と要介護度を結びつける根拠はどこにもありません。

柔らかくすることより、姿勢を整えて歩くことのほうが、ずっと大切です。

Q.ウォーキングやスクワットを始めて、どのくらいで変化を感じられますか?

A.体つきの変化は2〜3か月が目安ですが、姿勢そのものはもっと早く変わります。

中村さん:筋肉がつくられるにはタンパク質の合成が必要なので、体が引き締まってきたと感じるまでには2〜3か月かかります。

ただ、力の出方は1日、2日でも変わってきますし、姿勢そのものは意識した瞬間から変えられますよ。

まとめ|開脚は手放して、「姿勢」と「足腰」を整えよう

開脚ができないのは、体として正常なことであり、本来気にする必要のない差です。

一方で、歩幅が狭くなった、お尻が垂れてきたと感じるなら、それは股関節の硬さではなく、骨盤の傾きからのサインです。

耳からくるぶしまでを一直線に保つ姿勢を意識し、ウォーキングとスクワット、ときどき重いものを持つ習慣で足腰を維持する。

柔らかさを追いかけるより、この土台を整えることが近道です。

EDITOR’S PROFILE

きたの
きたの
猫背、巻き肩、首から骨盤まですべて歪んでいる20代男子。
出不精だけどゴルフはしたい。タバコは吸うけど、毎晩のパックは欠かさない。

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