もしかして私、臭ってる?専門家に訊く更年期の汗とニオイの真実

梅雨が明け、外にいるだけでも汗ばむ季節。
とくに40〜50代になると、汗の量が増えただけでなく「なんだか汗のニオイが変わってきたかも…?」と感じることはありませんか?
この、どうしようもない更年期特有の汗とニオイの悩み。
実は、多くの女性が同じように感じていることなんです。
目次
多くの女性が悩む更年期の“ニオイ問題”
今回は、ニオイの専門家である石田翔太さんに取材。
更年期にニオイが変化する原因からセルフケア、やりがちな間違った対策まで、詳しくお話を伺いました。

オドレート株式会社代表取締役
石田 翔太さん
https://odorate.co.jp/
国家資格である臭気判定士の資格を持つ。個人の体臭をチェックできる測定キットodorate(オドレート)を開発。これまで3,000人以上の体臭を検査・分析し、ニオイに悩む多くの人をサポートしている。
石田さん:更年期世代のお客様からの汗や体臭に関するご相談は多いですね。
ご自身の体質の変化に戸惑い、「加齢臭が気になる」とおっしゃる方もいれば、汗の量が増えたことで「汗のニオイが気になり始めた」という方もいて、お悩みは半々くらいです。
なぜ?更年期に汗のニオイが変化する3つの理由
―そもそも、なぜ更年期になるとニオイが変化してしまうのでしょうか?
石田さん:更年期のニオイの変化には、主に3つの原因が関係しています。
1. 女性ホルモン(エストロゲン)の減少による皮脂の増加
石田さん:更年期に入り、女性ホルモンの一種であるエストロゲンが減少すると、皮脂の分泌が活発になります。
実は、この皮脂こそが「加齢臭」や「ミドル脂臭」といった、いわゆる“オトナのニオイ”の主な原因なんです。

加齢臭は皮脂が酸化することで「ノネナール」という物質が発生して起こる、古本や枯れ草のようなニオイ。
一方、ミドル脂臭は汗の中の乳酸が分解されて発生する「ジアセチル」という物質が、皮脂由来の中鎖脂肪酸と混ざることで発生する、使い古した油のようなニオイです。
更年期は、この両方のニオイが強まりやすい時期と言えます。
2. ホットフラッシュによる発汗量の増加
石田さん:ホットフラッシュは更年期の代表的な症状で、急に顔が熱くなったり、カーッと汗が噴き出したりすることを指します。
その汗をかいたまま放置すると、皮膚の表面にいる常在菌が汗や皮脂を分解し、酸っぱいような汗臭さを発生させてしまうんです。

3. 汗の質の変化
石田さん:ホルモンバランスの変化は、汗の成分にも影響を与えます。
本来は汗自体にほとんどニオイはないのですが、ホルモンバランスが変化すると、汗の中にアンモニアや乳酸といったニオイの原因となる成分が増え、汗がベタベタしてニオイが強くなる傾向があるんです。

つまり、更年期は「皮脂の増加」「汗の量の増加」「汗の質の変化」というトリプルパンチによって、ニオイが発生しやすい状態になっているのです。
そのニオイ、実は思い込みかも?自宅でできるセルフチェック
ニオイの問題はデリケート。
だからこそ、「周りにどう思われているんだろう…」と不安が募りますよね。
しかし、石田さんによると、「自分のニオイを気にしすぎている」人が圧倒的に多いのだそうです。
石田さん:実は、私たちが提供している体臭評価キット「odorate(オドレート)」を利用される方のうち、6〜7割の方は、医学的に見て特に気にする必要のないレベルのニオイなんです。
「自分のニオイが自分でも分かるということは、周りはもっと強く感じているに違いない」と思い込んでしまう方が多いのですが、実際は自分自身のニオイを一番近くで嗅いでいるからこそ感じるだけで、周りの人は気づいていないケースがほとんどなんですよ。

―6〜7割の人が思いこみだったとは驚きです。
とはいえ、客観的に自分のニオイを知る方法はあるのでしょうか?
石田さん:ご自宅で簡単にできるセルフチェック方法があります。
一日着たTシャツを、食品保存用のジップロックに入れて密封します。
その後、お風呂に入って一度嗅覚をリセットしてから、お風呂上がりにジップロックを開けて嗅いでみてください。
自分のニオイを客観的に感じやすくなりますよ。

この時、ジップロックに鼻を近づけて嗅ぐだけでなく、少し離して嗅いでみるのもポイント。
他人が感じるニオイの強さをリアルに把握しやすくなります。
今日からできる!更年期のニオイ対策5つの基本
―気になるニオイを抑えるためには、具体的にどんな対策をすればいいのでしょうか?
石田さん:まずは、6つのポイントを意識してみてください。
1. 肉食中心の食生活はNG
石田さん:加齢臭の原因は皮脂の酸化なので、皮脂を出す肉食中心の食生活を避けるのがおすすめです。
一方で、抗酸化作用のある食品を積極的に摂りたいですね。
ビタミンCやビタミンE、ポリフェノールなどを多く含む、緑黄色野菜や果物、ナッツ類などを意識して食事に取り入れましょう。
サプリメントを取り入れるのもいいですね。

2. 定期的に運動をする
石田さん:加齢臭を悪化させないためにも、運動不足には気を付けたいです。
運動不足によって自律神経が乱れると、皮脂が過剰分泌されてしまうことがわかっています。
さらに、毛穴に皮脂が詰まってしまうと、皮脂の酸化によってさらに加齢臭を促進させてしまいます。

運動習慣がない方は、まずは週2回30分からのウォーキングにトライしてみてはいかがでしょうか。
3. 正しく身体を洗う
石田さん:皮脂汚れをしっかり落とすためには、弱アルカリ性の石鹸やボディソープを使うのがおすすめです。
特にニオイが出やすい首の後ろや耳の周り、胸元、背中などは丁寧に洗いましょう。

4. 夏でも保湿を
石田さん:肌が乾燥すると、うるおいを守ろうとして逆に皮脂が過剰に分泌されてしまいます。
普段から乾燥が気になる方は、夏場でも、お風呂上がりにボディークリームなどで保湿をしておいて損はないでしょう。

5. こまめに汗を拭き取る
石田さん:汗臭さの原因は、汗を放置すること。
汗をかいたら、こまめに汗拭きシートで拭き取ったり、着替えたりするだけでも、ニオイの発生を大きく抑えられます。

6. 制汗剤はポイント使いで
石田さん:汗をかくこと自体は体温調節に必要な機能なので、全身の汗を無理に止めるのはよくありません。
制汗スプレーやでオドラントクリームを使う場合は、特に汗をかきやすい脇や足の裏など、気になる部分に限定して使用するのが効果的です。
それ、逆効果かも?よくある間違ったニオイ対策
良かれと思ってやっていることが、実はニオイを悪化させている…。
そんな悲しい事態を避けるため、多くの人がやりがちなNGケアについても教えていただきました。
ゴシゴシ洗い
ナイロンタオルなどで強くこすると肌が傷つき、乾燥を招いてかえって皮脂の分泌を促してしまいます。 洗うときは、たっぷりの泡で優しく撫でるように。
水分を摂らない
汗をかきたくないからと水分を控えると、汗が濃縮されてニオイが強くなる原因に。 こまめな水分補給で、サラサラな良い汗をかくことが大切です。
強い香りでごまかす
ニオイの元が残ったまま香水などをつけると、悪臭と混ざってさらに不快なニオイになる可能性が。 まずは身体を清潔にすることが基本です。
ボディーソープを使わない
ボディーソープなどを使わずにお湯だけで身体を洗うと、皮脂や汚れがきちんと落ちず、ニオイの原因菌を繁殖させてしまうことに。 洗浄料は適切に使いましょう。
ニオイの悩みから解放されて、もっと自分らしく
最後に、石田さんが印象に残っているエピソードを話してくれました。
石田さん:ご自身のニオイを気に病むあまり、新幹線や飛行機に乗るのが怖くなって大好きだった旅行にも行けなくなってしまった方がいらっしゃいました。
でも、検査キットでニオイが強くないと分かったことで自信を取り戻し、「また旅行に行けるようになりました」とご報告をくださったんです。
また、試着室で服を汚してしまうのが怖くてずっと試着ができなかったという女性が、弊社での対面検査の帰りに、晴れやかな顔でアパレル店に消えていったこともありました。

石田さん:ニオイが強いんじゃないかという思い込みで、ご自身の行動を抑圧してしまっている方が本当に多いんです。
加えて、嗅覚が敏感な方も陥りがちです。
他人のニオイに厳しすぎるあまり、「もしかして自分も…」と、“ミイラ取りがミイラになるパターン”もあるあるなんです。
過度に気にしすぎないためにも、ご紹介したセルフチェックや客観的に調査できるキットで悩みを解決していただきたいなと思います。
▼自宅でチェックできる体臭評価キット「オドレート」
https://odorate.co.jp/
まとめ
更年期の汗やニオイの変化は、多くの女性が経験する自然な身体の変化です。
その原因は女性ホルモンの減少に伴う「皮脂の増加」「発汗量の増加」「汗の質の変化」にありました。
大切なのは、ニオイの正体を知り、正しくケアすること。
そして、何よりも「気にしすぎない」ことです。
まずは、ご紹介したセルフチェックや対策を試してみてください。
そして、もしそれでも不安が解消されない場合は、専門家を頼るのも一つの手です。
まずはできることから試して、ニオイの悩みと上手に付き合いませんか。
投稿者プロフィール

- 自他ともに認めるせっかちアラサー兼業主婦。食べることを制限するダイエットや心地よくないセルフケアは続かないので、気負わず試せる美容・健康法やライフハックを集めています。
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