歯を磨いても消えない口臭は胃腸から?歯科医が教える食べ方を変える3つの習慣
投稿日:2026/08/31
更新日:2026/09/01
歯を丁寧に磨いている。
舌のケアもしている。
それなのに、口臭が消えた気がしない。
そういうとき、臭いの出どころが口の中ではないことがあります。
消化しきれなかった食べ物が腸で腐敗し、そのガスが呼気に混ざって出てくるのです。
横浜市青葉区で口臭外来を18年続けてきた櫻井直樹さんに、臭いが腸で作られる仕組みと、今日から始められる対策を教わってきました。
目次

普通の歯医者さんと、口臭外来では何が違うのでしょうか?
櫻井さん:口臭が気になって一般の歯科に行くと、診るのは口の中に原因があるかどうかです。
虫歯や歯周病が見つかれば、それを治します。
口臭外来が診るのは、口臭がどこから出ているか。
口の中の空気と、肺から出てくる息を分けて測れば、発生源が口なのか、それ以外なのかがわかるんです。
それで、原因はどこにあることが多いのでしょうか?
櫻井さん:うちに来られるのは、一般の歯科で治療を受けても口臭が消えなかった方がほとんどです。
そういう方の口臭の原因は、ほぼ全員が口の中ではなく腸でした。
なぜ、口の中ではないと言い切れるのでしょうか?
櫻井さん:口の中に原因があるのなら、歯周病や虫歯、歯が割れているといったわかりやすい形で見つかります。
そうした原因であれば、通常の歯医者さんで治療できるので、わざわざうちの口臭外来まで来る必要がないんですよ。
みなさん、口の中のケアは十分すぎるほどやってこられていますからね。

腸の臭いが、どうやって口から出てくるのでしょうか?
櫻井さん:完全に分解されなかったタンパク質が腸に溜まると、そこで腐敗してガスが発生します。
そのガスが血液に乗って肝臓へ運ばれ、分解しきれなかった分が肺胞(はいほう)から喉へ上がってくる。
これが、歯を磨いても消えない口臭の原因です。
では、歯磨きでは消せないということでしょうか?
櫻井さん:腸から出たガスは、肺から出てくるものですからね。
原因が口に無い以上、歯を磨いても舌を磨いても、臭いは変わりません。

胃腸から出る臭いと、口の中から出る臭いに違いはありますか?
櫻井さん:臭いの質が違うんです。
口の中が原因なら、卵や魚が腐ったような、生臭い臭いになります。
腸内環境が悪い方から出てくるのは、便やおならに近い臭いです。
ただし、自分の臭いは自分では判別しにくいものです。
歯ぐきの腫れや痛み、しみる感覚があるなら、原因が口の中にある可能性もあります。
気になる場合は、まず歯科で調べてもらってください。
腸で臭いを作っていたのは、消化しきれなかったタンパク質でした。
では、なぜそれが腸まで残ってしまうのか。
そして、腸内環境が崩れた先で何が起きるのかを訊きました。

タンパク質を消化しきれないのは、なぜでしょうか?
櫻井さん:日本人はもともと胃腸が弱いといわれていて、胃酸があまり出ません。
胃酸が出にくいぶん、未消化のタンパク質は溜まりやすくなります。
さらに、現代は食べ物が柔らかくて咀嚼(そしゃく)回数が稼げない。
喉越しで食事を済ませてしまうので、食べたものに唾液が混ざっていないんですよ。
唾液は、消化の最初の一段を担っています。
混ざらないまま飲み込めば、その一段を飛ばして胃に落ちることになります。

腸の状態が悪いと、ほかにも影響が出ますか?
櫻井さん:腸内細菌はビタミンB群を作っています。
ビタミンB群はエネルギーを作るのに欠かせないものですが、腸内環境が悪くなると枯渇してしまう。
エネルギーが回らなくなれば人はイライラしますし、交感神経が優位に傾いていくんですよ。
交感神経が優位になると、今度は腸内環境がさらに悪化して便秘がちになります。
そうして腸に溜まったガスが、口臭として出てくるわけです。

自律神経の乱れは、口臭にも直接関わるのでしょうか?
櫻井さん:交感神経が優位なままだと、唾液が出なくなります。
唾液が減れば口の中の細菌バランスも崩れますから、腸に加えて、口の中からも臭いが出やすい状態になるんですよ。
40代以降は、さらに更年期のホルモン変化が重なります。
便秘やイライラが増えたと感じている時期は、臭いも出やすくなっている時期だと考えてよいかもしれません。
腸内環境を整えるとなると、まず食べるものを見直したくなります。
ただ、櫻井さんは「何を食べるかも大事ですが、まず変えてほしいのは食べ方です。」と語ります。

具体的には、どう食べればいいのでしょうか?
櫻井さん:肉や魚を毎食摂っているという方は、たくさんいらっしゃいますが、血液検査をするとタンパク質が足りていないことが多い。
これは、あまり噛まずに飲み込んでいるので、体に取り込めていないんです。
どうすれば、取り込めるようになるのでしょうか?
櫻井さん:消化する力を強くするしかありません。
患者さんにお伝えしているのは、ひと口を少なくして30回噛むこと、水で流し込まないこと、夜に食べ過ぎないことです。
食材を増やす前に、いま食べているものを消化しきることが重要になります。

3食のなかで、優先すべき食事はありますか?
櫻井さん:1日3食は食べなければいけません。なかでも一番大事なのは、朝食です。
そもそも朝は血糖値が足りていませんし、自律神経を整えるうえでも朝食が必要になります。
朝食が自律神経を整えるのは、どういう仕組みですか?
櫻井さん:噛むだけで脳の血流が上がりますし、体温も上がります。
日光を浴びることも大事ですが、咀嚼することも同じくらい大事なんですよ。
逆に朝食べなければ、自律神経は整いません。
自律神経が乱れて交感神経が優位に傾けば、唾液も出にくくなります。
実際、私の医院で口臭外来を受診した人のうち、朝食を食べない人や、食べたり食べなかったりする人は少なくありません。

朝食なら、何を食べてもいいのでしょうか?
櫻井さん:炭水化物だけで済ませるのは避けてください。
血糖値が急に上がると、そのぶん反動で急に下がります。
下がるたびにアドレナリンが出るので、交感神経が優位なほうへ傾いていくんですよ。
なので、朝はバナナ1本という方も気をつけたほうがいいですね。
栄養素そのものは悪くないのですが、血糖値を一気に上げてしまいます。
コーンフレークやグラノーラも、噛まずに飲み込めてしまうので注意が必要です。
では、朝は何を食べればいいのでしょうか?
櫻井さん:和食を食べるようにしてください。
ごはんに汁物とおかずが揃っていれば、血糖値は急に上がりません。
米にもタンパク質は入っていますから、肉や魚はほどほどで構いません。
最後に口臭についてのよくある質問を、櫻井さんに訊いてみました。
A.便秘だけを治しても消えるとは限りません。
櫻井さん:便秘と口臭は、どちらも交感神経が優位になった結果として出てきます。
両方とも消すなら、副交感神経を優位な側へ持っていかないといけません。
便秘を治すというよりは、腸内環境を整えるようにしましょう。
A.出やすくなります。
櫻井さん:逆流性食道炎は、胃が悪いことの典型例。
胃が悪いということは、消化ができないということですから、腸内環境もそのまま悪くなります。
A.変わります。食べ始めると、口臭は止まります。
櫻井さん:食事の前は口臭が強いのですが、食べているあいだは出ません。
これは誰でも同じで、飲み会の前や食事の前がいちばん強く出るんですよ。
人と会う予定があるなら、空腹のまま向かわないほうが無難です。
歯を磨いても消えない口臭。その原因は「口の中の汚れ」だけでなく、専門家が指摘する「腸で発生するガス」にもありました。
生臭ければ口の中、便やおならに近ければ腸。
臭いの質を手がかりに、まずは出どころを見極めましょう。
ご紹介した3つの習慣は、ひと口を少なくして30回噛む、朝食を抜かない、朝から炭水化物に偏らないこと。
どれも今日の食事から始められるものばかりです。
明日の朝食のひと口から、気にせず人と会える毎日を作っていきませんか?

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