【レシピ付】睡眠にいい食べ物はナスだった。自律神経を整える快眠成分とは
更新日:2025/09/19
日々の疲れが取れず、朝起きてもどこかスッキリしない―そんなあなたに試してほしいのが、「睡眠メシ」です。
「睡眠メシ」とは、睡眠の質を高めるとされる栄養素を含む食材を活用した食事です。
実は、夏に旬を迎えるあの野菜も、「睡眠メシ」なんです。
目次
厚生労働省が推奨する睡眠時間(成人の場合)は、約6~8時間です。
調査によると、十分な睡眠がとれている人の割合は74.9%。
つまり、日本人の約4人に1人が慢性的な睡眠不足を抱えている可能性があることがわかります。
睡眠と密接な関係をもつのが、自律神経です。
私たちの意思とは無関係に体内の働きを調整している自律神経は、交感神経と副交感神経で構成されています。
副交感神経が優位になると、心拍や呼吸が落ち着き、体温も徐々に下がり、身体は入眠にふさわしいリラックスモードになります。
副交感神経がうまく働かないと、寝付きが悪くなったり、寝ても疲れが取れなかったりなどの睡眠の悩みにと繋がります。
煮ても焼いても揚げてもおいしい「ナス」。
そんなナスに、睡眠改善効果があることを知っていますか?
ナスに秘められた驚きの成分について、信州大学発のベンチャー企業「株式会社ウェルナス」代表・小山正浩さんに聞きました。
小山さん:コリンエステルとは、神経伝達物質のひとつで、交感神経の活動を抑制する作用があります。生鮮食品や加工食品を問わず自然界に広く分布しています。
小山さんたちの研究によって、トマトやピーマンなど他の野菜の約3000倍のコリンエステルがナスに含まれていることが明らかになりました。
ナスを食べることでコリンエステルが作用し、睡眠が改善されることを世界で初めて臨床試験で実証しました。
注目したのは、副交感神経の活動を活発にするコリンエステルの自律神経調節機能です。
臨床試験では、ナスの粉末とそうでない粉末を5日間ずつ摂取。
その結果、入眠から起床までの全睡眠時間が延長したほか、入眠時間は約1時間早まることが分かりました。
小山さん:コリンエステルの自律神経調整機能によるリラックス効果で睡眠時間の延長と速やかな睡眠導入が実現したと考えられます。
自律神経に働きかけるコリンエステルの研究では、血圧改善・リラックス作用も分かっています。
コリンエステルの成分を最大限に摂取するためには、食べ方にも工夫があります。
コリンエステルは水に溶けやすい性質があるので、水にさらしたり、長時間煮たりする調理法は注意が必要です。
※スープなどで、溶けだした成分を摂取する場合はOKです。
コリンエステルは熱に強いので、切ったらすぐに加熱調理がオススメ。
生のまま保存するとコリンエステルが減少してしまうので、ナスのヘタを取って丸ごと電子レンジで加熱したあと、冷凍保存しても大丈夫ですよ。
今回は、管理栄養士のたえこさんに、ナスの睡眠効果を最大限に活かした簡単レシピを教えてもらいました。
たえこさん:梅干しに含まれるクエン酸には、日中にたまった乳酸などの疲労物質を分解・排出する作用があります。体のだるさを軽減し、眠りの質を整えるサポートが期待できるので、ナスとあわせて疲労回復効果大です。
・なす …… 2本
・ごま油 …… 小さじ1
・塩 …… ひとつまみ
・梅干し …… 1粒
・ポン酢 …… 大さじ1
・かつお節 …… 2g
1. なすは一口大の乱切りにする。
2. 耐熱容器に、なす・ごま油・塩を入れて軽く混ぜ、ふんわりラップをする。
電子レンジ(600W)で3分30秒加熱する。
※500Wの場合は4分10秒
3. 梅干しの種を取り、たたいてペースト状にする。
ポン酢・かつお節と混ぜてタレを作る。
4. なすの余分な水分をキッチンペーパーで軽く拭き取り、3のタレと和える。
かつお節には「トリプトファン」というアミノ酸が含まれており、睡眠ホルモン「メラトニン」の材料となる重要な成分です。 寝る前に軽く摂ることで、自然な眠りをサポートする下地づくりになります。
たえこさん:蒸し調理にすることで油を控えめにでき胃腸の負担が少ないので、寝る前でも重たくなりにくいのがポイントです。
・なす …… 3本
・豚バラ薄切り肉 …… 120g
・酒 …… 大さじ2
・大葉 …… 5枚
●味噌ダレ
・味噌 …… 大さじ1
・砂糖 …… 大さじ1
・醤油 …… 大さじ½
・すりおろし生姜 …… 1片分
・ごま油 …… 小さじ1
・七味唐辛子 …… 適量
1.なすは1cm幅の斜め切りにする。
豚肉は4cm幅に切り、大葉は軸を取って千切りにする。
2. ボウルに●の調味料をすべて合わせ、味噌ダレを作っておく。
3. 耐熱容器に、なすと豚肉を交互に重ねて並べ、上から酒を回しかける。
4.ふんわりラップをし、電子レンジ(600W)で6分30秒加熱する。
※500Wの場合は7分50秒
5.火が通ったら、上から味噌ダレをかけて全体に軽くなじませ、大葉をトッピングする。
「トリプトファン」が含まれている豚肉には、メラトニンへスムーズに変換するために必要な「ビタミンB6」も豊富です。睡眠の質を整えるための“原料と補酵素”をどちらも同時に補える食材です。
たえこさん:鶏むね肉にはトリプトファン、しめじにはGABAやビタミンB群、小松菜には神経の安定やホルモンバランスを整える栄養(カルシウム・マグネシウム・鉄)がバランスよく含まれています。
・なす …… 1本
・鶏むね肉 …… 120g
・酒 …… 小さじ2
・塩こしょう …… 少々
・片栗粉 …… 小さじ1
・しめじ …… 1/2株
・小松菜 …… 1/3束
・ごま油 …… 大さじ1/2
・水 …… 600ml
・顆粒和風だし …… 小さじ1
・味噌 …… 大さじ2
・小ねぎ …… 適量
1. なすは5mm幅の半月切りに、しめじはほぐし、小松菜は4cm幅に切る。
2. 鶏むね肉は一口大のそぎ切りにし、酒・塩こしょうを揉み込む。片栗粉を加えてさらに揉み込む。
3. 鍋にごま油を熱し、鶏肉を中火で両面焼き、焼き色がついたら1の野菜を加え、しんなりするまで炒める。
4.水と顆粒だしを加え、ひと煮立ちしたらフタをして弱火で3分煮る。
5. 味噌を溶き入れ、仕上げに小ねぎをのせる。
GABAやうま味アミノ酸が豊富な味噌。眠りに必要な栄養をまとめてとれる、心と体を整える一杯です。
レシピを監修してくれたたえこさんに、睡眠を良くするための食事のポイントを聞きました。
消化が落ち着かないまま寝ると、胃腸が休めず睡眠の質が下がる原因に。
食事を終える目安は、就寝の2〜3時間前まで。
どうしても食事が遅くなるときは、脂っこいものや量を控えた“軽めごはん”がおすすめです。
豚肉や鶏肉などに含まれる「トリプトファン」が睡眠ホルモン「メラトニン」の材料になります。
それをメラトニンに変えるには、ビタミンB6や適度な糖質(炭水化物)も必要です。
ビタミンB6は、まぐろやバナナ、さつまいもなどに豊富に含まれています。
夜は副交感神経を優位にしたい時間帯です。
温かい汁物や蒸し料理、煮物などは胃腸への負担が少なく、自然と眠りに向かいやすい体をつくってくれます。
冷たいもの・脂っこいもの・刺激の強い味は、寝つきにくさや胃もたれの原因になるため控えめに。
「睡眠メシ」で体の中からも眠りやすい環境を整えていきたいですね。
ぜひお試しください!
参考)
厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査」
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
株式会社ウェルナス