「痩せたいけど食べてしまう」原因はデブ舌?医師が教える1日1杯の出汁ダイエット
更新日:2025/12/23
「痩せたいと思っているのに、食欲が収まらない」
「濃い味付けのものばかり欲してしまう」
もしかすると、知らないうちに、あなたの味覚が濃い味や脂っこい食事でないと満足できない「デブ舌」になってしまっているのかもしれません。
今回は、消化器内科医の工藤あき先生に聞いた、1日1杯飲むだけで味覚をリセットできる「出汁ダイエット」をご紹介します。
目次
以下の項目に1つでも当てはまるなら、知らず知らずのうちに「デブ舌」に陥っている可能性があります。
・外食やコンビニ食の頻度が、週の半分以上ある。
・食卓に調味料を常備し、頻繁に「追い足し」をする。
・食事が出されたとき、味見をする前にソースや醤油をかけてしまう。
・出汁だけのスープを飲むと、「味が薄くて美味しくない」と感じる。

なぜ、デブ舌になってしまうのでしょうか?
工藤さん:それは現代の食事が、脳を麻痺させる「濃い味」で溢れているからです。
唐揚げやラーメンなどの脂っこい食事は脳に強い満足感を与えます。
これは、「脂肪味」といううま味を舌がキャッチして、脳が快楽を感じてしまうためです。
外食やコンビニ食の味付けは、お客さんにリピートしてもらうために、この「脂肪味」に加え、塩分や糖分を巧みに計算した「脳が喜ぶ濃い味」を提供しています。
こうした強い刺激に慣れてしまうと、繊細な味では物足りなくなり、より濃い味付けや脂っこい外食を求め続けるようになります。
その結果、自分では普通に食べているつもりでも、知らず知らずのうちに塩分やカロリーを過剰に摂取してしまうのです。
この状態のまま食事制限をしようとしても、脳が満足していないため、我慢できずにリバウンドしてしまう可能性が高くなります。
では、この「デブ舌」をどうやって治すのか。工藤先生が提案するメソッドは、驚くほどシンプルでした。
「食事制限は一切なし。まずは1日1杯『出汁』を飲んでください」
これだけです。

工藤さん:飲むタイミングに厳しい決まりはありませんが、最も効果的なのは「おやつを食べたくなった時」や「食事の前」です。
温かい出汁をゆっくり飲むことで空腹感が落ち着き、その後の食べ過ぎを自然に防ぐことができます。

工藤さん:毎日カツオや昆布から出汁を取る必要はありません。
スーパーで売っているだしパックや粉末タイプをお湯に溶かすだけで十分です。
選ぶ際は、できるだけ「食塩不使用」や「無添加(素材のみ)」のものを選ぶと、素材本来の旨みを感じやすくなります。
なぜ出汁を飲むだけで痩せられるのでしょうか。
そこには、医学的にも理にかなった2つの理由がありました。

工藤さん:出汁に含まれるグルタミン酸などの「うま味成分」は、脳に深い満足感を与えます。
出汁を飲んで脳が「満たされている」と錯覚すれば、必要以上の食欲が収まり、自然と間食や食べ過ぎが減っていきます。
つまり、食べたい欲求を我慢して抑え込むのではなく、出汁によって食べたい欲求そのものを満たしてあげるのです。
さらに、個人差はありますが、早い方だと3〜4日程度で味覚が変化し始めます。
最初は「薄い」と感じていたものが美味しく感じるようになり、次第にヘルシーな食事に慣れ、ハイカロリーな間食が減っていくのを実感できるはずです。

工藤さん:出汁ダイエットは、今の食事を無理に減らさずに出汁をプラスすることをおすすめしています。
ダイエットによくある「揚げ物はダメ」「お菓子は禁止」と制限をしてしまうのは実は逆効果。
それは、人間は禁止されるとかえってその物事が気になってしまうカリギュラ効果という心理作用があるからです。
「食べちゃダメ」と念じることは、脳内で食べ物のことを考え続けているのと同じこと。
食べるものを無理に制限しないことで、脳にストレスを与えず、リバウンドを防ぐことに繋がるんです。
基本の飲み方から、お手軽な方法まで、自分にあったものを選んでみてください。

まずはスタンダードな飲み方です。
■用意するもの
・出汁(粉末またはパック)
・お湯
・マグカップ
■作り方
カップに出汁を入れ、お湯(150ml〜)を注ぐだけ。
■メリット
飲みたい時にサッと作れる手軽さ。飲もうと思ったその時に、すぐ実践できます。

「毎回お湯を沸かすのが面倒」という方は、朝にまとめて作ってしまいましょう。
■用意するもの
・出汁(粉末またはパック)
・お湯
・保温ボトル
■作り方
ボトルに出汁を入れ、お湯を満タンまで注いで持ち歩く。
■メリット
作る手間が「1日1回」で済むことです。一度作ってしまえば、その都度お湯を沸かす必要がありません。

「出汁の魚臭さが苦手」「味に飽きてきた」という時に試してほしい裏技です。
■用意するもの
・作った出汁
・緑茶(ペットボトルでも可)
■作り方
作った出汁と緑茶を「1:1」で割る。
■メリット
出汁特有のクセや臭みが消えて飲みやすくなります。緑茶のリラックス成分(テアニン)もプラスされ、イライラ防止に。

外出先や、出汁を切らしてしまった時は、無理せず「お茶」に頼りましょう。
■用意するもの
・緑茶(ペットボトルでOK)
■考え方
緑茶にもうま味成分の「グルタミン酸」が含まれています。
■メリット
いつでもどこでも実践できることです。緑茶のうま味を脳に与えることで、暴走する食欲を落ち着かせることができます。
「本当に飲むだけで変わるの?」
ジャンクフードとコーラが大好きな筆者は、半信半疑ながら実際にこの「出汁生活」を始めてみました。
今回用意した出汁は、食塩不使用、無添加、酵母エキス不使用の粉末タイプの出汁。
飲み方はシンプルに、スプーン1杯の出汁粉末を紙コップに入れてお湯を注ぐだけにしました。

初日の正直な感想は、「・・・ただの白湯?」でした。
1口目が特に顕著で、味を感じません。入れる出汁の量が少なかったのかと悩むほど。
塩気がないので物足りず、3口目あたりからようやく舌が慣れて「うま味」を感じるような状態でした。

最初に変化を感じたのは、初日の昼食の時です。
出汁は食前に1杯飲むことを心がけて生活していました。
するとランチを注文する際、既にある程度お腹が満たされており、「今日は並盛でいいか」と思う日が多くなりました。
もちろん、お腹が空いて大盛りを食べる日もまだありますが、大盛りじゃなくても満足できるのは大きな進歩だと感じました。

次の変化は、2日後の夕食時に訪れました。
普段は醤油やうま味調味料を多く使いがちで、家族からは味が濃いとよく言われていました。
しかし、「せっかくデブ舌対策をしているのだから」と、試しに調味料を減らしてみることに。
いつもは大さじ1杯の醤油を入れるところを、思い切って半分程度に。
「薄いかな?」と心配しつつ、食べてみてびっくり。
「あれ、これでも十分美味しい…?」
それだけでなく、お酢を積極的に使うなど、減塩しても満足できる工夫をするようになりました。
「減らさなきゃ」というよりは、「減らしても大丈夫だった」という嬉しい発見でした。

そして、ちょうど1週間が経った日のことです。
いつものようにオフィスの紙コップで一口目を飲んだ瞬間、自分でも驚くような変化が起きました。
「え、美味しい!」
昨日までは「ただの白湯」と感じたのに、今日は一口目から、うま味をダイレクトに感じたんです。
今まで薄いと感じていたものが、はっきりと旨いと感じる。
私の舌は、この1週間で着実に変わってきているようです。
「たまにはジャンクなものが食べたい」といった欲求との付き合い方など、出汁生活を長く続けるコツを教えていただきました。

工藤さん:迷ったら、出汁が効いているものを基準に選びましょう。
例えばコンビニなら、おにぎりと「おでんやお味噌汁」、外食なら「お蕎麦や定食(味噌汁付き)」などがおすすめです。
これらはうま味が豊富なので、脂の満足感を出汁の満足感に置き換えることができます。
茶色いおかずよりも、香りが良い汁物を一品プラスする意識を持つだけでも、デブ舌改善には効果的です。

工藤さん:一度食べたからといって、すぐに完全にデブ舌に戻るわけではありません。
ただ濃い味の食事が続くと、味覚は鈍感になってしまいます。
大切なのは、週1回に留めるなど頻度をコントロールすること。
また、ジャンクフードの後は、できるだけ薄味な食事を心がけるとよいでしょう。
出汁生活を細く長く続けていくことが、薄味でも満足できる味覚を維持する一番の秘訣です。

工藤さん:もちろんです。
「絶対にダメ」と禁止すると、脳がかえって執着してしまうので、無理にやめる必要はありません。
ただ、出汁生活を続けて味覚がリセットされると、市販のスイーツを「甘すぎてくどい」と感じるようになる方が多いんです。
「我慢してやめる」のではなく、味覚が変わって「自然と欲しくなくなる」のが理想です。
それまでは、温かい出汁やお茶と一緒に、適度な量を楽しんでください。
「痩せたいのに食べてしまう」原因の一端は、脳と舌が現代の食環境によって「デブ舌」になっていたからでした。
無理な食事制限ではなく、1日1杯の出汁の「うま味」で脳を満足させ、暴走していた食欲は自然と落ち着き、味覚も正常に戻っていきます。
筆者の検証でも、1週間で「薄味でも美味しい」「大盛りじゃなくても満足」という変化が起きました。
我慢してストレスを溜める前に、まずは今日の食事の前に温かい出汁をプラスしてみませんか?
その1杯が、あなたの舌を「ヤセ舌」へと変える大きな一歩になるはずです。

ダイエット2025.12.23「痩せたいけど食べてしまう」原因はデブ舌?医師が教える1日1杯の出汁ダイエット
特集2025.12.18【食事制限なし】三日坊主な僕が「スリムコアバイク2」を1ヶ月漕いでみた結果
健康2025.12.15寒くなるとやる気が出ない「冬バテ」朝5分から始める対策4選
ダイエット2025.11.28【管理栄養士監修】太りにくいお酒の飲み方!ダイエット中のおすすめのお酒とおつまみ