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【温活ドクター解説】慢性的な不調の原因はお腹の「冷え」かも?“温活×腸活”で始める根本改善

【温活ドクター解説】慢性的な不調の原因はお腹の「冷え」かも?

更新日:2025/09/19

生理痛や便秘、なかなか治らない肌荒れに、いつも感じる倦怠感…。

30代を過ぎたころから、まるで当たり前のように居座る数々の不調。「年齢のせいだ」と諦めかけてはいませんか?

「その不調、実はほとんどが『冷え』に繋がっています。」

そう語るのは、イシハラクリニック副院長の石原新菜さん。「温活ドクター」の愛称で知られ、メディアでも活躍されています。

今回は石原さんに、多くの女性を悩ませる不調の根本原因から、ズボラな方でも毎日続けられる「温活」と「腸活」の具体的なアプローチについて、詳しく伺いました。

石原 新菜
監修
石原 新菜さん
イシハラクリニック副院長/内科医
研修医時代に不調で悩んだ経験から、体を温める「温活」の重要性を痛感。腹巻きや入浴、体を温める食事といった生活習慣を約20年間実践し、あらゆる不調を克服した。その実体験に基づく分かりやすい解説が評判を呼び、「温活ドクター」としてテレビや雑誌、講演会など多方面で活躍している。

こんな不調、実は「冷え」が原因かも

こんな不調、実は「冷え」が原因かも

温活ドクター石原さんには、普段どのような相談が多いのでしょうか?

石原さん:手足が冷えて眠れない、生理痛や生理不順、むくみやすい、便秘がち、肌荒れや乾燥肌といったご相談が非常に多いです。特に30〜40代の女性からのご相談が顕著ですね。

これらは一見するとバラバラの悩みに見えますが、漢方の考え方では「冷えは万病のもと」と言われ、そのほとんどが血流の悪化、つまり「冷え」を元凶としています。

「冷え」が、それほど多くの不調に関わっているのですね。

石原さん:はい。体が冷えると、体温を逃がさまいと血管がキュッと収縮します。すると血流が悪くなり、肩こりや腰痛、生理痛といった「痛み」や「凝り」に繋がります。

石原さん:はい。体が冷えると、体温を逃がさまいと血管がキュッと収縮します。すると血流が悪くなり、肩こりや腰痛、生理痛といった「痛み」や「凝り」に繋がります。

石原さん:さらに、全身の臓器は血液が運ぶ酸素や栄養で働いているため、血流が悪化すれば内臓の機能も100%の力を発揮できません。

その結果、便秘や胃もたれ、むくみといった内臓の不調を招いてしまうんです。

事実、体温が1℃違うだけで、代謝は約13%、免疫力に至っては約30%も変わってくると言われています。

また、美容の面でも同じで、たとえ1日に2Lの水を飲んでいても、血流が悪ければ細胞まで届かず、乾燥や肌荒れの原因になってしまうんです。

なぜ現代人は冷えている?

なぜ現代人は冷えている?

石原さん:現代の日本人は昔の人に比べて平熱が低くなっています。

驚くことに、1957年に東京大学で行われた調査では、日本人の7割以上の平熱が36.9℃もあったんですよ。

しかし近年は35℃台後半から36℃前半の人が大半。約70年で、私たちの体温は1℃近くも下がってしまったんです。

その背景には、複合的なライフスタイルの変化があります。

・筋肉量の低下
体が作り出す熱の約4割は筋肉によるものですが、日常的に筋肉を動かす機会が激減し、熱が作られなくなっています。

・入浴習慣の変化
湯船に浸からず、シャワーだけで済ませる人が増えました。体を芯から温める機会が日常から失われていることも、現代人の「冷え」を深刻化させる一因です。

・ストレスと睡眠不足
ストレスがかかると自律神経のうち交感神経が優位な状態になります。
交感神経は血管を収縮させる働きがあるため、常にストレスに晒されていると血流が悪化し、体が冷えやすくなる。

・食生活の変化
ファストフードなど食生活の変化によって、体を温める発酵食品などを摂る機会が減ったことも一因と考えられます。

特に女性は、もともと男性より筋肉量が少なく、さらに生理周期によって体温が下がる「低温期」もあるため、より冷えやすい傾向にあります。

【温活】ドクターが20年続ける「温活4原則」

【温活】ドクターが20年続ける「温活4原則」

冷えを改善するために、何から始めれば良いでしょうか。

石原さん:私自身、生活習慣を全て見直した結果、生理痛も便秘も肩こりも、すべて無くなった経験があります。

その約20年間の実践から見えてきた、誰でもできる「温活4原則」がこちらです。

1.まずはこれだけ!最強の味方「腹巻き」

1.まずはこれだけ!最強の味方「腹巻き」

まずはお腹を温めること。腹巻きは基本中の基本です。

私は真夏でも腹巻きと五本指ソックスは欠かしません。着けるだけなので、1番簡単な温活です。

2.内側から温める「ちょい足し薬味」のススメ

2.内側から温める「ちょい足し薬味」のススメ

食事も難しく考える必要はありません。いつもの食事に、体を温める薬味を「ちょい足し」するだけです。

例えば、ショウガやニンニク、ネギなど。これらに含まれるアリシンといった成分には、毛細血管を広げて血流を良くする働きがあります。

3.シャワー派でもOK!洗面器の活用法

3.シャワー派でもOK!洗面器の活用法

5分でも10分でも、湯船に浸かるだけで体はしっかり温まります。

どうしてもシャワーで済ませたい日は、洗面器に熱めのお湯を張って足湯をしながらシャワーを浴びるだけでも効果的です。

4.ズボラでも続く「ながら運動」のコツ

4.ズボラでも続く「ながら運動」のコツ

体温の約4割は筋肉から作られるので、運動は不可欠です。とはいえ、ほとんどの方は続かないので、ハードな運動は不要。

「少しでも筋肉を動かす」意識が大切です。

まずは、エスカレーターを階段にする、一駅手前で降りて歩くなど、日常の中でできる「ながら運動」から始めてみましょう。

ドクターおすすめ!手軽に始める「ショウガ紅茶」習慣

ドクターおすすめ!手軽に始める「ショウガ紅茶」習慣

石原さん:体を温めようと白湯を飲む方も多いですが、それだけでは温かさの効果が持続しにくいのが難点です。

そこで、いつもの白湯や紅茶にショウガを加えるだけで、体を内側から温める効果がぐっと長持ちします。

作り方はとても簡単で、ティーバッグの紅茶を作ったあとにショウガを入れるだけ。

その日の気分や、手間に合わせて選んでみてください。

気分で選べるショウガ紅茶の作り方

・一番簡単な「パウダー・チューブ」
市販のショウガパウダーやチューブタイプのショウガを使うのも良い方法です。特にパウダーはオフィスに常備しておくと便利かもしれません。

・手軽な「スライス」
紅茶をポットで作る際に、ショウガのスライスを2〜3枚入れておくだけ。これだけで手軽にショウガ紅茶が完成します。

・風味が良い「すりおろし」
少し手間はかかりますが、生のショウガをすりおろして加えると、香りが引き立ち最も美味しくいただけます。

【腸活】温活の効果を最大化するインナーケア

【腸活】温活の効果を最大化するインナーケア

温活と合わせて「腸活」も重要だと聞きます。

石原さん:その通りです。温活と腸活を同時に行うのは、非常にメリットが大きいですね。

大前提として、お腹が冷えていると、腸そのものの動き(蠕動運動)が悪くなってしまいます。

温活の基本である腹巻きをしたり、お腹を温めたりすることは、血流を良くするだけでなく、物理的に腸の働きを活発にする上でも非常に重要なんです。

そして、腸はただの消化器官ではなく、私たちの心身の健康を根底から支えるとても重要な存在なのです。

腸がもたらす4つの健康効果

腸がもたらす4つの健康効果

石原さん:腸には、主に4つの重要な働きがあります。

【免疫】全身の免疫細胞の7割が集中

口から肛門までは一本の管で繋がっているトンネルのようになっており、いわば体の「外」と接する最前線です。
特に、腸の壁には全身の免疫細胞の約7割が集中し、ウイルスなどの外敵から体を守っています。
乳酸菌や納豆菌といった善玉菌は、この免疫細胞にあるスイッチを押し、活性化させる働きがあるのです。

【代謝】腸活がダイエットに効く理由

善玉菌は、腸内で「短鎖脂肪酸」という物質を作り出します。
この短鎖脂肪酸は、腸内を悪玉菌が増えにくい弱酸性に保つだけでなく、血中に取り込まれると内臓脂肪の蓄積を抑える働きをしてくれます。
善玉菌が「痩せ菌」と呼ばれ、腸活がダイエットに効くのはこのためです。

【メンタル】幸せホルモンは腸で作られる

脳と腸は「脳腸相関」といわれるほど密接に連携しています。
実は、精神を安定させる「セロトニン」などの、いわゆる幸せホルモンの元となる物質は、腸内細菌によって作られているのです。
お腹の調子が悪いと気分が晴れないのは、気のせいではありません。

【美肌】便秘は肌荒れの直接原因に

便は食べたものの残りカスであり、老廃物の約75%を占めています。
便秘でこの老廃物が腸内に溜まると、悪玉菌が作り出す毒素が血液に再吸収されてしまいます。
そして、その毒素を皮膚から排出しようとすることで、肌荒れや吹き出物の原因になります。

その腸活、冷やしてない?食の新常識

その腸活、冷やしてない?食の新常識

石原さん:腸内細菌は、善玉菌・悪玉菌・日和見菌が「2:1:7」のバランスでいるのが理想と言われています。

日和見菌は優勢な方の味方をするので、善玉菌を優位に保つことが大切です。

しかし、腸活のために良かれと思って食べているものが、実は体を冷やしているケースもあります。

代表的なのが生野菜のサラダ。食物繊維は豊富ですが、実は体を冷やしてしまっています。

冷えた腸では、せっかくの善玉菌も元気に働けません。野菜を摂るなら、蒸し野菜やかぼちゃの煮物といった、温かい調理法のものを選ぶのがおすすめです。

ランチをコンビニで済ませることが多いのですが、それでも実践できますか?

石原さん:はい、いくつかのポイントを押さえるだけで、手軽に「温め腸活」を実践できますよ。

1.まずは「温かい味噌汁」をプラスする

1.まずは「温かい味噌汁」をプラスする

いつものお弁当やおにぎりに「温かいスープか味噌汁」を一杯プラスしてみてください。
特に味噌は発酵食品ですし、体を温めることもでき、一石二鳥です。

2.おにぎりは「海苔つき」を選ぶ

2.おにぎりは「海苔つき」を選ぶ

おにぎりを選ぶ際は、海苔が巻かれているものを選びましょう。
海苔は手軽に摂れる食物繊維です。さらに、海苔があることで食後の血糖値の急上昇を穏やかにしてくれるというメリットもあります。

3.もう一品には「温かい和惣菜」を

3.もう一品には「温かい和惣菜」を

食物繊維を摂ろうと冷たいサラダに手が伸びがちですが、生野菜は体を冷やしてしまうため、温活の観点からは避けたい選択。
ひじきの煮物やかぼちゃの煮付けといった和惣菜がおすすめです 。

滞った腸を動かす「外からのケア」

滞った腸を動かす「外からのケア」

石原さん:内側からのケアと合わせて、外から物理的に刺激を与えるマッサージも、滞りがちな腸を動かす上で非常に有効です。

内側からだけではなく、外側からもケアしたほうがいい人ってどんな人ですか?

石原さん:まず、デスクワークなどの座りっぱなしの時間が長い方ですね。

歩いたり腰を動かしたりする機会が少ないと、腸への自然な刺激が減って動きが滞りがちになるため、意識的に外から刺激を与えることが大切です。

もう一つは、腹筋の力が弱い方です。

便を出すとき、私たちはお腹に力を入れて「腹圧」をかけて押し出すのですが、

特に女性は腹筋が弱い方が多く、それが原因で便秘になっているケースも少なくありません。

運動不足で腹筋の力がない方にとって、外からの刺激はそれを補う助けになります。

ドクター直伝「『の』の字マッサージ」のやり方

ドクター直伝「『の』の字マッサージ」のやり方

石原さん:基本は、大腸のルートに沿って「の」の字を描くようにマッサージすることです。

1.大腸のルートを意識する
大腸は、お腹の右下から上に向かって上がり、左へと横切り、そして左下へと下っていきます。
この流れに沿って行いましょう。

2.詰まりやすい「2つの角」をほぐす
大腸はお腹の右上と左上で、ほぼ直角に曲がっています。
この2つの角は、構造的にガスや便が詰まりやすいポイントです。
マッサージをする際は、この部分を特に意識して、優しく圧をかけてあげると良いでしょう。

お腹が温まっているお風呂上がりなどに行うと、筋肉が緩んでさらに効果的です。

【もっと手軽に】ながら腸温活という選択肢

【もっと手軽に】ながら温腸活という選択肢

それでも、家事や仕事で疲れている日に毎日セルフケアを続けるのは、なかなか難しいもの。

特に長時間のデスクワークは、同じ姿勢が続くことで血流が滞り、腸の動きも悪くなりがちです。

そんな時は、外から物理的に「温め」と「刺激」を与えてくれる便利なアイテムに頼るのも一つの手です。

「腸ケア温熱ベルト」は、ヒーター機能でお腹を直接温めながら、回転するもみ玉が心地よく腸を刺激してくれます。

腸ケアベルト_GIF

石原さんも「あ、ほんと結構あったかくなりますね」と驚かれており、「『の』の字方向に回転させるとより良いと思います。」とコメント。

例えば、このようなケアアイテムは、ヒーター機能でお腹を直接温めながら、回転するもみ玉が心地よく腸を刺激してくれます。

デスクワークをしながら、テレビを見ながらといった「ながら時間」を、手軽な温活&腸活タイムに変えることができます。

腸ケア温熱ベルト

腸もみベルトで
毎日スッキリ生活

腸ケア温熱ベルト

矢印

【まとめ】「温活×腸活」で、不調知らずの体に

長年あなたを悩ませてきた、数々の不調。その根本原因は、日々の生活習慣によって作られた、体の「冷え」にありました。

その連鎖を断ち切る鍵は、体を「温める」温活と、腸内環境を整える「腸活」を同時に行うこと。

専門家である石原さんが約20年間も実践し、その効果を自ら証明している健康法です。

まずは腹巻き一枚、いつもの飲み物をショウガティーに変えることから。

その小さな一歩が、不調に悩まされない、軽やかで快適な明日へと繋がっているはずです。

EDITOR’S PROFILE

きたの
きたの
猫背、巻き肩、首から骨盤まですべて歪んでいる20代男子。
出不精だけどゴルフはしたい。タバコは吸うけど、毎晩のパックは欠かさない。

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