足が熱くて眠れない原因は「冷え」だった。根本解決への3ステップ
更新日:2025/09/12
夜、布団に入り、いざ眠ろうとすると足の裏がカァーッと熱くなる…。
その不快感でなかなか寝付けず、ただ冷やしてしのぐ日々を過ごしてはいませんか?
実はそのつらい症状、冷やすだけでは根本的な解決には至りません。
今回は、同様の症状をもつ患者さんを数多く見てきた経験のある整体師の樋口亮太さんに、足の灼熱感の意外な原因から、ズボラな方でも続けやすい対策を伺いました。
目次
樋口さん:夜になると足が燃えるように熱くなってしまう。この症状は一般的に「バーニングフィート(灼熱脚症候群)」と呼ばれています。
特に夜、寝る前になると足の裏に灼熱感を覚えたり、ムズムズするような感覚に襲われたりするのが特徴です。
この原因を大まかに分けると5つに分けられます。今回はそのうち、足の血行不良についてメインにお話させていただきます。
5つの主な原因
・足の血行不良 ←今回はココに注目
・自律神経の乱れ
・栄養の偏り
・室温の高さ
・病気の副作用
足が燃えるように熱くなるからバーニングフィート。読んで字の如くですね。
樋口さん:そうなんです。でも実は、根本的な原因は「冷え」にあるんです。
「冷え」ですか?一見、正反対のように見えますが…。
樋口さん:実は、“灼熱感”の正体は日中の急激な温度差なんです。
樋口さん:日中、特に夏場のクーラーが効いた職場などで足が冷え切っていると、血液の流れが滞ってしまいます。
そして、夜になると体が寝る準備を始め、深部体温を下げるために四肢の先から体温を放出しようとして、滞っていた血液が巡り始める。
この時、冷え切っていた足に一気に温かい血液が流れ込むことで灼熱感を覚えます。
例えるなら、暖かい部屋にずっと居ると慣れてきますが、寒い屋外から、急に暖房の効いた暖かい部屋に入った時には、より「うわっ、暑い!」と感じるのと同じ原理ですね。
では、なぜそれほどまでに足が冷えてしまうのでしょうか。
樋口さん:その答えは、お尻と太もも。つまり下半身の大きな筋肉にあります。これらは、血流を送り出す「ポンプ」の役割を担っています。
デスクワークなどでこのポンプが十分に機能しないと、血液を足先まで送り出せず、結果として末端の深刻な冷えに繋がります。
だからこそ、症状が出ている足裏といった末端だけでなく、この大きなポンプから血流を促すことが、根本的な改善に繋がるわけです。
今まで診てこられた患者さんの中で、冷えやすい人の特徴はありますか?
樋口さん:多くの方の原因は、日中の無意識な習慣に隠されています。特に大きな原因は「同じ姿勢」と「大きすぎる靴」の2つですね。
どちらの原因も、根本の問題は血行不良であり、まずはそれが起こらないように「何気ない習慣」を見直すことが重要です。
樋口さん:この症状は、デスクワークで座りっぱなしの方、あるいはスーパーのレジ打ちなどで立ちっぱなしの方に発症することが非常に多いです。
立ち仕事も座り仕事も、どちらも原因になり得るんですね。
樋口さん:はい。重要なのは、姿勢が一定のまま、長時間 変わらないことが血流を滞らせる、ということです。
集中していると1時間、2時間あっという間に過ぎてしまいますが、その間、あなたの足の血流はどんどん悪くなっています。
樋口さん:もう一つ、非常に多くの方が見過ごしているのが「靴のサイズ」です。
特に男性に多いのですが、ご自身の足のサイズより大きい靴を履いているケースが目立ちます。
僕はジャストサイズを履いているつもりですが、そういう人でも「実は大きかった」ってケースはあるのでしょうか?
樋口さん:では、実際に測ってみましょうか。
そんなわけで急遽、筆者の足を計測してもらいました。
僕は足のサイズを26.5cmだと認識していましたが…
樋口さん:足のサイズは24.5のD(幅狭め)です!
まったく自覚がなかったのに2cmも差が…。どうやら僕と同じケースの人は多そうですね。
樋口さん:これが実は良くない状態で、ブカブカの靴を履いていると、靴の中で足がずれないように、無意識に指を上げてバランスを取ろうとします。
樋口さん:これが「浮き指」という状態で、本来使うべき足の指の筋肉が全く使われず、結果として指先の血行不良に繋がってしまうんです。
実際、当院に来院された患者さんの中でも、靴のサイズが合っていない男性の方は本当に多いです。
靴のかかとだけが異様にすり減りやすい方は、指を使わずにかかと重心で歩いている可能性が高いので、危険信号かもしれません。
こういった方は一度、ご自身の足のサイズや靴のサイズを見直してみることをオススメします。
デスクワーク中や立ち仕事中など普段からできるセルフケアと、寝る直前に行うセルフケアを教えていただきました。
仕事中、寝る前、寝ながらケアを行って、少しずつ血流を改善していきましょう。
原因はわかりましたが、毎日ハードな運動を続ける自信がありません…。
樋口さん:大丈夫です、ハードな運動は必要ありません。
理想を言えばスクワットやウォーキングなのですが、ほとんどの方は続かないので、あまり意味がないんですね。
一番大事なのは、とにかく「同じ姿勢を続けない」という意識です。
こういったセルフケアをお仕事の最中に取り入れてみてください。
・30分~1時間に1回
・数秒間、お尻を少し浮かせる
・30分〜1時間に1回
・その場で数回、つま先立ちをする
思っていたより小さな動きだったのですが、効果はあるのでしょうか?
樋口さん:先程もお話しましたが、姿勢が一定のまま長時間変わらないことが血流を滞らせる原因。
たったこれだけで!?といった小さな動きが、滞っていた足の血流をリセットするスイッチになるので、まずはこれを意識するだけでも、体は大きく変わってきますよ。
樋口さん:そして寝ながら出来るケアとして「横隔膜」をほぐすのが非常に効果的です。
横隔膜は下半身に繋がる大きな血管が通っていて、ここが固くなると血流の“ダム”になってしまい、足先への血流を妨げてしまう。
これが、バーニングフィートを誘発する要因となっていることが非常に多いんです。
1.仰向けに寝て、両膝を立てます。
2.おへそと肋骨のちょうど中間あたりに、両手の小指側を手刀のように当てます。
3.鼻から大きく息を吸い、口から「ふーっ」と息を吐きながら、お腹の力を抜き、指の腹を肋骨の内側へゆっくりと沈み込ませていきます。
4.息を吐くたびに指がさらに奥へ入っていくのを感じながら、この深呼吸を10回繰り返します。
樋口さん:最初は硬くてなかなか指が入りにくいかもしれませんが、心配いりません。呼吸に合わせて続けていくうちに、少しずつ緩んでいくのを感じられるはずです。
現代人はストレスや長時間のデスクワークで、どうしても呼吸が浅くなりがちです。このケアで横隔膜の動きが良くなると、血流改善だけでなく、うれしい副次効果も期待できますよ。
横隔膜ケアによる3つのメリット
・足先までの血流が改善される。
・呼吸が深まり、自律神経が整いやすくなる。
・体中に酸素が巡り、日中の疲労を感じにくくなる。
樋口さん:寝ている間に足が熱くなるのは、体温を放出しようと血流が良くなることが一因です。
なので、寝る前にはこれを物理的に防ぐために、着圧ソックスを履いて寝るのも有効な対処法です。
足を適度に締めることで、血管が過剰に広がるのを抑え、不快な灼熱感を和らげることができます。
ゆるっと履くだけ
お手軽血行促進ケア
エアリー着圧ソックス
樋口さんに、バーニングフィートに関する疑問に回答していただきました。
A.はい、対処法としては有効です。
どうしても寝付けない時は冷やしてもらって構いません。
ただし、それはあくまで、その場しのぎであり、根本的な解決にはなっていないということだけは覚えておいてください。
A.夏場は特に、旬の食べ物の摂りすぎに気をつけてほしいですね。
例えば、きゅうりやナスといった夏野菜は、体の熱を冷ます効果があります。
本来であれば、夏の暑さで火照った体を中和させてくれるありがたい存在です。
しかし、クーラーなどで既に体が冷えている方がこれを摂りすぎてしまうと、かえって体が冷えすぎてしまうことがあります。
あくまで摂りすぎが良くないので、適度に楽しむ分には問題ありませんよ。
A.ご安心ください。症状が良くなったり、少し戻ったりという「波」が出てきたら、それは回復のスイッチが入った証拠です。
治療によって体の歪みが整い血流が良くなった結果、一時的に症状を感じることがあるのです。
その波はだんだんと小さくなり、気づけば症状を忘れている、という方がほとんどですよ。
日中の小さな意識や、寝る前の横隔膜ほぐし。
これだけでも体は変わっていきますが、「もっと手軽に、脚全体の血流をケアしたい…」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
そんな方のために、乗せるだけで下半身の血行を促進してくれる「リフレッシュレッグレスト」という脚のマッサージ機を使う選択肢もあります。
脚を乗せるだけで、心地よい振動が血行を促進。座りっぱなしで滞りやすい膝の裏や、疲れが溜まりやすいふくらはぎを手軽にケアすることができます。
今回、樋口さんにも実際に試していただきました。
樋口さん:これは気持ちいいですね。バーニングフィート対策で使うなら、ふくらはぎはもちろん、血流が滞りやすい膝の裏をほぐしてあげるとさらに良いと思います。
座りっぱなしで血流が悪くなっている部分なので、仕事から帰ってすぐの時間などにケアすると良いですね。朝イチに使うのもむくみが取れるのでおすすめです。
ズボラなあなたの毎日に、こんな「ながらケア」を加えてみてはいかがでしょうか。
ダル重い足を
ブルブル振動で軽く
リフレッシュレッグレスト
足の熱さの本当の敵は、夜の「熱」ではなく日中の「冷え」でした。
その原因は、日々の「同じ姿勢」や「サイズの合わない靴」といった何気ない習慣に隠されています。
灼熱地獄の夜からあなたを解放する鍵は、仕事中に少しだけ姿勢を変える意識と、夜寝る前の簡単な深呼吸ケア。
原因を知った今、快適な眠りを取り戻すための一歩を、今日から踏み出してみませんか。