腰痛が治らないのは ろっ骨が固いから。1日5分のマッサージで腰痛との闘いに終止符を
更新日:2025/09/19
マッサージに通ってもすぐにツラくなる、慢性的な腰痛を抱える方必見。
からだメンテラボ・さくら治療院 院長の川口陽海さんが考案した新・腰痛改善法を直伝していただきました。
「あなたの腰痛は必ず治ります」「腰痛の原因は腰にない」と語られる、改善法の全容とは?
腰痛持ち社員が実践します。
目次
新・腰痛改善法として、“ろっ骨ほぐし”を提唱している川口さん。
川口さんいわく、腰痛の原因のひとつは、固くなったろっ骨だと言います。
ろっ骨が固い=腰痛 というのは、一体どのようなメカニズムなのでしょうか?
ろっ骨が固いと、痛みを引き起こす「隠れ酸欠」と「腰への慢性的なダメージ」を生み出してしまうんです。
川口さん:普段ろっ骨は、縮んだり膨らんだりして呼吸のサポートを担っていますが、ろっ骨が固くなるとその動きが制限され、呼吸が浅くなってしまいます。
川口さん:そうすると、無自覚のままに酸欠になる「隠れ酸欠」の状態になります。
酸欠状態になると、細胞から痛みを生み出す物質(ブラジキニンやヒスタミン)が放出され、筋肉に痛みを生じてしまうんです。
さらに、呼吸が浅くなることで体幹を支えるのに重要な腹圧の力が弱まり、腰に負担を強いてしまいます。
慢性腰痛持ちの社員カノウさんは、普段デスクワークが多く、姿勢の悪さも自覚しているそうです。
特に、電車などで立ってじっとしているときがツラいとのこと。
反り腰であることは自覚しているのですが、この姿勢がいけないのでしょうか…?
川口さん:はい。実際、反り腰や猫背などの間違った姿勢は、身体を支えるインナーマッスルが弱いことで起こることが多いんです。
その姿勢の代償として腰にダメージを受けているんですね。
そもそも、反り腰や猫背にならないためのブレーキの役割を持つのがインナーマッスルなので、対処法としては、そのブレーキを復活させることが必要です。
川口さん:やはりろっ骨も固そうなので、ろっ骨ほぐしと背骨ほぐしも行っていきましょう。
背骨も、ですか?
川口さん:はい。ろっ骨の動きが固いと、つながっている背骨も固くなってしまうんです。
本来、背骨はひとつひとつ柔軟に動いていて、負担を分散させる働きがあるのですが、ろっ骨が固いと、ろっ骨とつながっている上の方の背骨(胸椎)も一緒に固まってしまいます。
そうなると、また腰にばかり負担がかかってしまうんです。
マッサージをしてもまた痛くなってしまうのは、負担の原因がそのままだからなんですね。
川口さんいわく、固まったろっ骨周りをほぐすケアと、姿勢を支えるインナーマッスルを鍛えるトレーニングが効果的とのこと。
今回はお家でじっくり行えるものからスキマ時間にできるものまで、じっくり教えていただきました!
※痛みがあまりにもひどい場合や痛みが続く場合は、重篤な病気の症候である可能性があります。辛い場合は我慢せずに医療機関を受診しましょう。
固まったろっ骨周りをしっかりほぐす、ホームケアを教えていただきました。
下側のろっ骨を柔らかくするストレッチです。
1.背中とマットの間にポールを配置し、ポールの上に胸がくるように調整します。
2.腕を広げて手の平を上に向け、楽に深呼吸を3~4回繰り返します。
3.膝を立てて、上半身を固定させたまま膝を左右に倒します。これを5~10回続けます。
※膝を倒すときは、腰ではなく上半身からひねるイメージで行います。
4.最後に左右それぞれに脚を倒した状態で、深呼吸を3~4回行います。
川口さん:鎖骨のあたりを引き上げて空気を身体に送り込む(息を吐くときは鎖骨を下げる)呼吸のイメージで。
脇腹がアコーディオンのように伸び縮みする感覚で行ってみてください。
カノウさんの場合、ポールの上に寝たときに顎が上向きになっているということは、猫背気味にろっ骨が固まってしまっている証拠です。
このストレッチを行うと、背骨のねじれの動きが加わってだんだん可動域が広がっていきます。
ガチガチな方は、ポールの上に寝転んだだけで痛みを感じる可能性があるので、無理のない範囲で行ってくださいね。
脇腹から背中にかけて伸びている感じがします!
ポールがない場合はバスタオルやヨガマットでもOK!
ヨガマットや大きいバスタオルを丸めて、ポール代わりに使用するのもおすすめです。
初めて行う場合は通常のポールだと固く感じる可能性があるので、柔らかい素材を使うとよいでしょう。
ろっ骨を片方ずつ開く、ねじりのストレッチです。上半身を動かすことで、上側のろっ骨を柔らかくします。
1.頭に枕やクッションをかませ、横向きに寝そべります。
2.膝を90度に曲げて、腕を前方に伸ばし、手と手を重ねます。
3.肩を開きながら、上側の手を反対側の床に近づけます。
※手が床につかない場合は無理をしない範囲で行ってください。
4.ゆっくりとした動作で、4~5回繰り返します。終わったら、反対側も同様に行います。
川口さん:最初にカノウさんが深呼吸している様子を見ると、下の方のろっ骨は動いているんですが、上の方のろっ骨はあまり動いていないようでした。
これは、猫背の方やデスクワークでずっと同じ姿勢をしている方の典型的な例で、自覚がある方は特にこのストレッチがおすすめです。
繰り返していると、だんだん上の手が床につくようになってきました!
背骨周りの筋肉をほぐす運動です。
1.ポールを縦にして、頭からお尻まで乗ります。
※ポールがない場合は、そのままマットなどの地面で行ってOKです。
2.30秒~1分ほど、力を抜いてゆらゆらします。
3.さらに30秒~1分ほど、早めに小さい動きでゆらゆらします。
※背骨ひとつひとつをねじるイメージで。
川口さん:こり固まっている方は、最初は効果を掴みづらいのですが、続けているとほぐれやすくなって、背骨がふわっと温かくなる感覚になると思います。
私は今はあまり感じないのですが…💦これはお布団の中でも手軽にできそうなので、感覚を掴めるまでトライしてみます!
腹圧をかけることで、腹横筋(お腹の深くにあるインナーマッスル)を鍛えます。
1.マットの上に仰向けになり、膝を立てます。
2.鼻から息を吸って、お腹を膨らませます。
3.口をすぼめて、ふーーっと天井に力強く息を吹きかけるようにしっかり吐きます。
※お腹に力を入れます。
4.吐ききったら、もう一度息を吸って吐きます。
吐き切ったところで、さらにふーーーっと絞り出すように吐き切ります。
5.吐ききったら再度息を吸って、肛門にぎゅっと力を入れながら、4の動作を繰り返します。
川口さん:この腹式呼吸を1日30回を目安に行ってみてください。
だんだんとお腹に力が入ってくるのがわかると思います。
川口さん:腹筋に力を入れるときは、ワンサイズ小さいズボンを履くイメージでお腹をひっこめてください。今、おへその下に力が入っていると思いますが、背中にも力が入っていませんか?
はい、お腹に力を入れると背中も一緒に力が入っちゃいます。
川口さん:実はこれが陥りやすいポイントで、お腹に力を入れるとき背中にも力が入ってしまうのは、
「腹筋のスイッチ」が切れちゃっているからです。
患者さんにも大変多いケースなのですが、腹筋の力の入れ方がわからない状態になってしまっているんです。
確かに…上体起こしは10年前からできていないです。
川口さん:腹筋に力が入らない状態だと、身体は体幹を支えるために背中の力でカバーしようと頑張ってしまうので、日常的に腰にものすごい負担がかかってしまうんです。
では、「腹筋のスイッチ」を繋ぎなおすための方法をお伝えしますね。
1.足や腰には力を入れずに、骨盤底筋に力を入れます。
※肛門を締めるイメージ。
2.恥骨をみぞおちに向けて、腹筋でぐっと引き上げます。
※尾骨を上に向けて、骨盤を後傾させるイメージでもOKです。
川口さん:いわゆる、スイッチを繋ぎなおすためのリハビリです。根気強く取り組んでみてください。
座りながらでもできる腰痛ケアを教えていただきました。
ろっ骨から背中にかけて柔らかくします。
1.椅子に浅く腰かけ、骨盤は前を向いたまま、背もたれを掴みます。
※キツい方は無理のない範囲までで大丈夫です。
2.身体の力を抜いて、楽に呼吸しながら30秒~1分ほど行います。反対も同様に行います。
最初は全然背もたれを掴めなかったんですが、だんだん柔らかくなってきました!
川口さん:ストレッチはワンポーズ30秒以上やることで効果が出てきます。リラックスして行いましょう。
座って行うインナーマッスルトレーニングです。
1.椅子に腰かけて、ろっ骨に手を当てます。
※立って行ってもOKです。
2.肩甲骨を寄せて、ろっ骨を開くイメージで深く息を吸います。
3.ふーーーっと吐くときに、ろっ骨に当てた手でみぞおちに向けて軽く押します。4~5回繰り返します。
※強く吐ききって、腹筋に力を入れます。
意外にも、寝そべったときよりも感覚をつかむのが難しい💦
川口さん:最初のうちは感覚をつかむのが難しいと思うので、その場合は寝そべって行ってみてください。
腰痛を訴えている方は、骨盤を支える中殿筋が張っているケースがとても多いんです。
1.マットの上に仰向けになり、お尻の上部外側にある筋肉(中殿筋)の下にテニスボールを入れます。
2.ゆっくりとテニスボールに体重をかけていき、痛気持ちいいくらいのところでストップします。
※膝を開く・骨盤の角度を変えるなど微調整をして、ご自身でいいポイントを探ってみてください。
3.ボールが当たっている箇所の力を抜くイメージで、15秒待ちます。
そう!いつもココが痛くなるんです。気持ちいい~!
川口さん:痛すぎると良くないので、最初はゴムボールくらいの硬さで試すのがおすすめです。
川口さん:では、一度そのまま横になってみてください。
寝るときは、いつも膝を曲げないと腰とマットの間にすき間ができちゃっていて、寝姿勢がツラくて困っていたんですが…これは感動!!毎日やります!!
川口さん:特に反り腰の人は、寝る前にろっ骨ほぐしをしていただくと実感を得やすいと思います。
プランクも試しにやってみてください。
\えっ…?/
お腹に力が入っています!
川口さん:腹筋のスイッチを入れたので、力が伝わりやすくなったんだと思います!
ご自身ではスイッチが入った意識はないと思うのですが、筋肉は確実に反応していますね。
毎日行うとしたら、最低限この3つをやってみてください。
・【ろっ骨ほぐし】胸郭ストレッチ
・【背骨ほぐし】金魚運動
・【インナーマッスル強化】腹式呼吸
承知しました!やってみます!
セルフケアを10日間続けた感想をカノウさんに聞いてみました。
以前は帰宅時の電車で20分くらい立ち続けると腰が痛くてツラかったんですが、かなりマシになりました。
反り腰なので、横になると腰が浮いてしまってよけいに負担がかかるので、いつも膝を立てて寝ていたんです。でも、寝る前にろっ骨ほぐしをしたら、マットレスに腰がつくようになるので、膝を立てなくてもラクに寝れるようになっています。
今までは上体起こし自体が難しくてできなかったカノウさんも、「この腹式呼吸なら力が入りやすいのでしっかり鍛えられている感じがする!」と大喜びでした。
ろっ骨ほぐしを終えた後に、効果をチェックする方法があります。
1.息を吐ききった状態でみぞおち(アンダーバストあたり)を計測します。
2.思いきり息を吸い込んだ状態でみぞおち(アンダーバストあたり)を計測します。
3.この差が3cm以上あれば、ろっ骨が柔らかくなっています。
カノウさんのろっ骨の変化は…?
想像以上にろっ骨が柔らかくなっていました!
※効果は個人の状態・生活環境により変わります。
さらに、継続するためのコツを聞いてみました。
そんなに大変じゃないので、テレビを観つつゴロゴロしながらやっています。
腹式呼吸はお風呂に浸かりながらやっています!
5分くらいでできるので、寝る前のルーティンにするのがやりやすかったです。
腰痛ケアに必要なのは、以下2つ。
1.凝り固まったろっ骨・背骨をほぐす
→浅い呼吸を深くさせ、背骨の機能を復活させる。
2.体幹を支えるインナーマッスルを鍛える
→体幹の筋肉で身体をしっかり支える。
まずはできる種目からトライしてみてくださいね。
なんと腰痛の85%は原因不明という調査結果が出ているそう。
そんな中、長年の治療現場においてどんな患者さんにも共通する根本原因を突き止め、9割以上の患者さんの腰痛を治してきた川口さん。
ご自身が腰痛に苦しんだ経験からたどり着いた「ろっ骨ほぐし」、ぜひおうちでトライしてみてください!
※セルフケアで痛みが生じた場合はすぐに中止してください。
※ご紹介したメソッドは、すべての腰痛に対する治療行為を目的とするものではありません。また、外科的手術を否定するものでもありません。
※痛みがあまりにもひどい場合や痛みが続く場合は、重篤な病気の症候である可能性があります。辛い場合は我慢せずに医療機関を受診しましょう。
参考)
川口 陽海『腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい(健康プレミアムシリーズ)』